【生活保護の現場から】病気があっても自分らしく 新生存権裁判に力尽くす 木村良太さん〈2023年4月23日号〉

 いつも笑顔で周囲への気配りを欠かさない木村良太さん(41)は、新生存権裁判(ことば)の原告副団長と併せて、東京都生活と健康を守る会(都生連)の役員としても仲間から信頼を寄せられています。福祉を活用しながら自分を生きる今と木村さんに起きた出来事を振り返ります。

自分らしい生き方を支える生活保護制度に、と話す木村さん

 北海道伊達市で漁師を営む両親の下で生を受けた木村さんは、「いつも両親は一緒に漁に出ていて仲が良かった。ケンカする時もあったけれど、海ではいつも一緒で信頼していたと思う」と目を細めます。地元の高校で生徒会長を務めていた時、民主青年同盟に入ったことに「やめろ」と言った父親は、彼が17歳の時に当時48歳という若さで肥大型心筋症により亡くなりました。

 札幌の大学に進学し、20歳の成人式の日に共産党に入党。その後、楽しかったアルバイトに夢中になり、自主退学し実家に戻りました。

 しかし1年も経たないうちに札幌に戻り民主医療機関連合会(民医連)の調剤薬局に勤務し、労働組合の青年部長になるも残業も多く、組合活動も忙しく、精神がむしばまれていきます。苫小牧の事業所への転勤時には納得できない扱いを受け、逆流性食道炎から食道潰瘍にり患。ドクターストップにより退職を選択しました。27歳になろうという時のことでした。

 再び実家に戻り、「このままではいけない。生活を支えなくては」という思いから職業訓練校に入学し、ステンレス溶接の技術を取得。しかし、リーマンショックのために仕事は見つかりません。

 仕事を求めて上京しましたが、溶接の経験を生かせる職は見つからず、臨時職員として東京原水爆禁止協議会の勤務や中野共立病院の送迎の職で糊口をしのぐ日々を送っていました。

最低限度さえ危うい制度に

 東京で正規雇用の仕事も見つからず、彼氏とも上手くいかなくなりアパートの部屋で必要最低限の外出以外はひきこもり、自分を責めるようになったのは東日本大震災の頃のこと。収入がないために家賃を3カ月滞納し、大家から「生活保護になるなら退去してほしい」と言われて困り果ててしまいました。ちょうど20代最後の歳、ウイルス性肝炎に感染していた寒い2月のことです。

 途方に暮れた木村さんは地元の共産党の区議会議員に電話をして、「助けて欲しい」と頼ることが出来たと振り返ります。

 無料定額宿泊所でのくらしを数カ月間経て、生活保護を利用しアパートを借りて自立。家財道具もすべて失っていたために、周りが手分けして持ち寄ってくれたと言います。

 その後、生活と健康を守る会に入り活動を開始し、今では地元の守る会と都生連の役員を務めています。

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