全国で10万人を超える開業医などが加盟する全国保険医団体連合会(保団連)が9日、「マイナ保険証による医療機関のトラブル調査・中間集計(6月8日)」の記者会見を開きました。会見には診療の合間に現場の医師らがリモートで参加。「患者が一番困惑している」として、リアルな実態と現行の健康保険証の継続を訴えました。
調査は35都道府県から7208件が寄せられ、マイナ保険証制度を導入している医療機関6062件中、トラブルありが3929件で64.8%にも上りました。中でも保険資格無効や該当なしとなるなど、情報が正しく反映されていないものが64.8%で最多となることも示されました。ケースとして▽マイナ保険証だけで確認できた例がない。従来の保険証の提示を求めざるを得ない▽該当資格なしとされ、聞くと転職も退職もないと怒られた▽氏名の漢字やフリガナが違う▽保険資格を失っているのに更新されていないーなど、本人確認ができないものでした。
また、「資格が確認できないために保険者に電話確認をしようにも、土曜日の受診では不可能」「暗証番号など覚えていないと怒鳴られた」などのトラブルが、医療従事者の大きな負担になっていることも明らかになりました。さらに、こうした事情から「閉院を選択する医療機関も出ているために、地域医療が崩壊に向かっている」との危惧も出されました。
「本人確認できないことにより〝自費扱い〟となり、経済的負担により受診困難ケースが出てくる」ことなどを踏まえ、会見に臨んだ医師は「任意である電子マネーも時間をかけて運用がされてきた。しかし、健康保険証は即廃止で併用せずというのは、命に影響を及ぼします。現行の保険証との併用が必要です」と繰り返し訴えました。
東京民報2023年6月18日号より