昭島市 巨大物流施設は撤回を 住民「自然と住環境守って」〈2023年7月2日号〉
- 2023/7/2
- 気候危機・環境
昭島市で進む敷地面積59万平方メートルの巨大物流施設の建設計画をめぐり、交通渋滞や、貴重な動植物が生息する周囲の自然環境の破壊を懸念する住民が6月22日、立川市で記者会見を開き、計画の撤回と見直しを求めました。
外資系の物流不動産デベロッパー大手「日本GLP」(本社・中央区)が昭島市の北部、玉川上水に面して広がる現在の「昭和の森ゴルフコース」(つつじが丘1丁目)の土地を取得して計画しているもの。東京ドーム12個分にあたる広大な土地に、24時間稼働の物流施設6棟(高さ約35~55メートル)、企業などにデータ通信の設備などを提供するデータセンター9棟(約40メートル)、複合用施設1棟(約20メートル)を建てます。2024年4月の着工を目指し、28~29年に完成を見込みます。
住民らは「昭島巨大物流センターを考える会」を結成し、学習会やGLPへの質問状提出、署名活動などに取り組んできました。事業者が昨年10月、環境影響評価の調査計画書を都に提出したほか、昭島市が開発地域の地区計画を策定する段階になったため、改めて会見で問題点を訴えたものです。
考える会の大竹雄二共同代表は、GLPの姿勢について、「昨年2月に開いた計画案説明会で『案は決定ではない』としていたのに、調査計画書はまったく同じ内容だった。住民から出された多くの不安や意見に、まったく向き合っていない」と批判。さらに、施設が完成すると1日5800台ものトラックが走ることになり、「生活道路の交通渋滞や、通学路での事故の危険性が高まる」と指摘しました。
長谷川博之共同代表は、GLPの調査計画書に対して、市民などから234通もの意見書や要請書が出されたことを紹介。「それをどう受け止め、調査に反映しようとしているのか、現時点で全く見えない」と不安を語りました。そのうえで、開発地域に囲まれた代官山緑地に、絶滅危惧種のオオタカや、アナグマなどが生息しており、「野生動物はゴルフ場の自然も利用している可能性が高く、開発されれば生態系が孤立する」と、自然や環境を守るよう訴えました。
東京民報2023年7月2日号より