PFAS汚染 米国基準超え38自治体に 横田基地東側に深刻汚染〈2023年7月9日号〉

 都内各地の井戸水などから発がん性が指摘される有機フッ素化合物(PFAS=ピーファス)が高濃度で見つかっている問題で、都環境局は6月30日、2022年度の地下水調査の結果を公表しました。世田谷区と武蔵村山市で新たに国の暫定目標値(1リットルあたり50ナノグラム)を超えたほか、今回の調査にアメリカの環境保護庁(EPA)が示した規制値案を当てはめると、島しょを除く都内53自治体のうち、38自治体が少なくとも、基準を超えています。高濃度の自治体は、米軍横田基地の東側に集中しており、同基地への立ち入り調査を求める声が高まっています。

共産党「基地に立ち入り調査を」

 「夫婦ともに、国分寺からの参加者の平均血中濃度より高いという結果で、びっくりしました。7人の孫のうち5人が近くに住んでいて、とても心配です。科学的なデータを集めることが、都や国に対策を求める力になると思うので、孫たちのために、できることは何でも協力したい」―国分寺市で2日、「PFAS汚染を考え安心で住みやすい国分寺を創る市民の会」が開いた、「学習と発足の集い」に参加した70歳の男性の言葉です。

 国分寺市では長年、水道水に使われていた井戸水から、高濃度のPFAS汚染が見つかって、都が取水を停止。さらに、「多摩地域のPFAS汚染を明らかにする会」が行った650人の自主的な血液検査でも、国分寺市の参加者の平均血中濃度は他市よりも高く、PFAS問題の焦点の自治体の一つです。

 集いでは、PFASの汚染問題を長年、研究してきた小泉昭夫京都大名誉教授らが健康影響の最新の知見などについて講演し、会の発足が承認されました。

 PFAS問題は市議選でも大きな争点になり、発足の集いにも超党派の市議が参加しました。

関心の高さから会場いっぱいの参加者が集まった国分寺の市民の会の発足のつどい=2 日、国分寺市

都が全地点を前倒し調査へ

 東京都が30日に発表した地下水調査は、島しょを除く都内を260のブロックに分け、各ブロック1カ所ずつ65カ所(21年、22年のPFASの調査は62カ所)を調査することで、21年度から4年間かけて都内全域の地下水の水質を調査していくものです。

 22年度の調査で、PFASの代表的な物質であるPFOSとPFOAの合計値で、国の暫定の目標値50ナノグラム/リットルを超えたのは、府中市260ナノグラム、国立市190ナノグラム、立川市170ナノグラム、世田谷区74ナノグラム、武蔵村山市65ナノグラム、武蔵野市65ナノグラムでした。

 このほかに、過去に都や国の調査で高かった地点などを対象とする継続監視調査もしています。

 都は、PFAS汚染への都民の不安が高まっていることから、計画を前倒しして、今年度中に260地点すべての水質検査を終わらせる方針です。

日本の基準超も17自治体に

 PFAS汚染への対策が進むアメリカでは、EPAが飲料水の基準を抜本的に厳しくするため、3月にPFOS、PFOAそれぞれ4ナノグラム/リットル以下という新たな規制値案を公表しました。

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