小池百合子知事が出席して開かれた都議会の公営企業会計決算特別委員会(11月15日)で、日本共産党の斉藤まりこ都議は、発がん性が指摘される有機フッ素化合物(PFAS)が含まれる泡消化剤の流出事故を繰り返している米軍横田基地(福生市など)が主要な汚染源の一つであることが明らかだと指摘し、積極的に調査しようとしない都の姿勢をただし、同基地への立ち入り調査を実現するよう求めました。
泡消化剤の流出事故は、今年1月25、26両日に起き、PFAS汚染水が計760リットル漏れ出し、側溝にも流れ込んだとされます。1リットルあたりの濃度は272万ナノグラムで、日本の暫定指針値の5万4400倍でした。流出事故は過去2010年から12年までに、3回起きていることが明らかになっています。しかし、米軍は一貫して「横田基地外へ流出した事実はない」としています。
都調査で排出源の一つと結論付ける
斉藤都議は、2008年に都環境科学研究所が発表した論文「都内水環境におけるPFOSの汚染源解明調査」で、多摩地域の「飛行場」が、PFASの一種、PFOSの「排出源の一つ」だと結論付けていると指摘。
国立環境研究所の論文でも、横田基地からの排水が流入する「下水処理場」のPFOS濃度が特に高かったこと、都の論文で図示されている排水が多摩川に流れる「飛行場」は、横田基地しかないことを示し、「横田基地から流出したことは明らかだ」として、都に調査するよう迫りました。
佐々木健・下水道局長は、これら2つの論文について「了知していない」として、調査については答えませんでした。
斉藤都議は、市民団体が行っているPFASの血中濃度検査で、67%の人がアメリカで「健康被害の恐れがある」とする指標を超えた結果を紹介。「都民に不安が広がる中、PFAS汚染の対策や調査は全庁を挙げて取り組まなければならない重要課題」だと強調。各局の真摯な取り組みと、知事に横田基地への立ち入り調査を実現するよう重ねて求めました。小池知事は一回も答弁に立ちませんでした。
給水停止1.7倍 都民追い詰めるな
物価高騰で厳しい暮らしが続く中、水道料金の未納などによる22年度の給水停止件数が前年度に比べ1.7倍の約18万件に急増してます。都は、その要因について「業務効率化」を目的に訪問による支払い催告をやめ、対面による相談ができない郵送による催告だけにしたことだと認めています。
斉藤都議は「暮らしが苦しい時に『事業の効率化』と言って給水停止を増加させ、都民を追い詰めるようなことは、公営企業のあり方として認められない」と批判。繰り返し訪問をする検針員が生活困窮世帯を福祉につないでいる実績にも触れ、給水停止が急増する現状を改善するよう求めました。
東京民報2023年12月3日号より