汚染土実証事業 目的変えるなら白紙撤回を 住民「御苑を処分場にするな」〈2023年12月10日号〉

環境省から聞き取りをする吉良議員、地元区議、住民ら=1日、千代田区

 環境省が東京電力福島第1原発事故で発生した汚染土を新宿御苑(新宿区内藤町)の花壇で「再生利用」する実証事業の計画に住民が猛反対し、住民説明会の実施を見合わせている問題で、同省担当者は再生利用を本格化させるための利用基準省令や技術ガイドラインの検討・策定の中で「説明会のタイミングを引き続き検討する」との考えを明らかにしました。日本共産党の吉良よし子参院議員の聞き取り(1日)で述べたもので、地元の共産党新宿区議、住民らが同席しました。

 昨年12月に環境省が新宿区の3町会に限定して開いた住民説明会は、住民の強い反発を受けて、その後一度も行われていません。

 同省担当者は「今年度から専門家や国際原子力機関(IAEA)の助言を受けながら、最終処分・再生利用の基準省令・技術ガイドラインの策定に向けた本格的な検討に着手することになった」と、放射能汚染土の再生利用に向けた新たな方針案について説明。

 「再生利用の安全性や管理方法などについて、より分かりやすい説明を行うためには、まずこれらの成果をとりまとめることが重要」だとし、説明会の開催時期については、「議論すべき事項などを踏まえながら検討していく」と語りました。

 吉良議員らは、新たな方針に基づくスケジュール(案)表に、新宿御苑での実証事業が記載されておらず、2024年度で(福島県などでの)実証事業を終了し、25年度から「再生利用の本格化の推進」としていることを示し、「24年度で実証事業の目的が終了する。新宿御苑での実証事業の目的がなくなれば中止するのが当然」と指摘。

 同省担当者は「ガイドラインを作るための実証事業は終了しても、新宿御苑の『実証事業』は理解醸成のための活動の一貫として考えている」と述べ、24年度も含め中止する考えはないとしました。

 吉良議員は「汚染土を持ち込むことが先にあり、理由は後付けではないか。事業の当初目的を変え、全国に汚染土を広げるような新宿御苑の実証事業は白紙撤回すべきだ」とのべ、計画の再検討を求めました。住民からは「再生利用の本格推進の中で汚染土が持ち込まれるなら、新宿御苑が最終処分場になる。新たな不安だ」と訴えました。

 政府・環境省は福島県内の「中間貯蔵施設」に集めた汚染土をリサイクルして1キログラム当たり8000ベクレルまでの汚染土を公共工事や農地に使う方針。実証事業でも同様の汚染土を使用し、福島県内で実施。一方、昨年12月、新宿御苑、埼玉県所沢市、茨城県つくば市の3カ所でも検討していると発表し、住民の猛反発を受けました。

東京民報2023年12月10日号より

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