全国で10万人を超える開業医などが加盟する全国保険医団体連合会(保団連)が 1月31日、昨年10月から実施してきた「マイナ保険証による医療機関のトラブル調査報告(1月31日最終集計)」の記者会見を開きました。
調査は41保険医協会・保険医会(38都道府県)の8672医療機関から回答があり、そのうち59.8%(5188医療機関)でマイナ保険証、オンライン資格確認に関するトラブルがあったと公表しました。政府与党は「不安払しょくの措置をとった」として、今年12月に現行の保険証の廃止を打ち出していますが、医療現場の実態と大きなかい離があることが明らかになりました。
新たに就任した竹田智雄会長があいさつに立ち、「河野太郎デジタル担当相がマイナトラブルの総点検を指示して以降も改善はしていない」と強調。「大臣はそれぞれのシステムの(紐づけの段階で生じる)仕様の問題と言い、修正する気はなくトラブルとみていない」などと批判し、「初診時に保険情報が反映されるので個人の特定に便利だとの触れ込みが、(対応できない医療機関の)閉院に拍車をかけただけだ」と指摘しました。
調査報告の中でマイナ保険証による受診受付では▽該当の被保険者番号がない25%▽資格情報無効がある49%▽名前や住所の間違い21%▽名前や住所が●で表示される67%―という結果は昨年6月時調査とほとんど変化しておらず、点検・修正が機能していないことが明白です。そのため医療機関の受付業務の遅延を招き、トラブルに発展している事例もあり、マイナ保険証の利用が医療機関と患者の双方で大きなリスクとなっている事実が浮き彫りになりました。竹田会長は「体調の悪い人が医療にたどり着けないということを、生じさせてはならない。医療機構と受診者の分断はあってはならない」と警鐘を鳴らしました。
受診者の負担割合の誤表示なども続出しており、保険証や限度額適用認定証での再確認も少なくなく、保険証廃止による影響は多大だと訴えています。さらに事務作業の増加による人員不足も懸念され、「受付、医療事務を軽く考えないで欲しい」との医療機関の声も上がっています。
保団連は「医療機関の大混乱を避け、誰もが安心して受診できるために岸田首相は『保険証を残す』という決断をすべきです」と求めています。
東京民報2024年2月11日号より