請負労働者の雇い止め容認 東電グループ社 東京地裁で判決〈2024年2月18日号〉
- 2024/2/16
- 労働・市民
東京電力グループ会社ワットラインサービスでの個人請負労働者の雇止めの撤回などを求める訴えに対して8日、東京地裁(野口宜大裁判長)で雇止めを認める判決が出されました。
同裁判は東電パワーグリッド社の子会社の東光高岳社が100%出資するワットラインサービス株式会社で、家庭用電気メーターの取り換え作業などに請負契約で従事してきた高野清さんが意図的にペナルティを課され、2019年3月に契約を更新しないという形で雇止めを受けた問題に端を発したもの。本人と加盟する全労連・全国一般東京地方本部らが原告となり訴えていました。
原告らは東電指定の作業着で指示を受けて東電指定の業務に従事することから、「労働者性」を主張し、職場の改善などを求めて労働組合を組織して団体交渉を要求するなどしてきました。しかし、会社側は5年以上にわたり拒否を続け、要望書などの受け取りもすべて背を向けてきました。
判決では高野さんを「労働組合法上の労働者」と認め、団体交渉拒否に対して33万円の損害賠償の支払いを認めました。一方で請負契約を理由に雇止めを認めるというもので矛盾があると原告は主張します。
判決後の記者会見で弁護団の大井淳平弁護士は「団体交渉の拒否に対する損害賠償として33万円という金額は少ない」と指摘。「高野さんの20年にも及ぶ請負契約での働き方を労働者であるとしながらも、雇止めを認める判決は労働の継続性を考慮していない。労働契約法上で問題がある」と批判しました。
組合も「事実に触れず、契約だけで判断された」と訴えています。高野さんは「自分の主張が全て否定されている。会社の指示通りに対応しても、罰則を受けて雇止めになった。控訴してたたかう」と決意を述べました。
東京民報2024年2月18日号より