日本共産党の和泉なおみ都議は3月25日の都議会予算特別委員会で、しめくくり総括質疑に立ちました。2024年度予算案で新型コロナ対策事業のほぼ全てを終了する問題、墜落事故を起こした米軍横田基地所属のCV‐22オスプレイと同型機の飛行再開問題、都平和祈念館の実現、水素偏重の気候危機対策、プロジェクションマッピングの無駄遣い、神宮外苑の再開発問題、スクールカウンセリングの大量雇い止めなど、都政の重要課題について、この間の質疑も踏まえて小池百合子知事にただしました。
後遺症相談 窓口の継続を
和泉都議は小池知事自身が昨年1月の記者会見で「法的な位置付けが変わっても、ウイルスの病原性や感染力そのものは変化しない」と語っていたのに、予算案で福祉施設でのPCR検査、コロナ治療薬の自己負担軽減など、主要な施策を全て終了すると批判しました。
小池知事は答弁に立たず、雲田孝司保健医療局長が「多くの医療機関でコロナ患者に対応できる体制が構築された」「国の方針を踏まえ、新型コロナに対する特別な体制は終了することとした」とのべ、施策終了を正当化しました。
和泉都議は「今もコロナで亡くなられる方、後遺症に苦しんでいる方がたくさんいる。医療や介護、福祉の現場で感染を広げないために、緊張しがら必死で働いている方々もたくさんいる」と強調。
都が3月22日に公表した都民1万人アンケートでも、新型コロナウイルスが「収束した」と答えた人が約10%に対し、「収束していない」は約45%で、感染再拡大の不安がある人は70%に上ったと指摘。
福祉職場で働く人の「定期的PCR検査で職員の陽性者が出ている。検査がなくなったらどうなるか心配」との声を紹介し、「コロナ対策のほとんどを終了してしまう知事の姿勢は、政治の責任放棄だ」と批判しました。
和泉都議はまた、コロナ後遺症で深刻な影響が出ていると強調。ところが都立病院での後遺症相談窓口は、3月末で終了するとし、強く継続を迫りました。
祈念館実現へ 検討開始せよ
和泉都議は、ウクライナ侵略やガザ侵攻で多くの人が心を痛めている今、「東京空襲をはじめとした戦争の惨禍を後世に伝え、平和への決意を固め合うことが、ますます重要になっている」とのべ、1990年代に検討が始まり、いまだに実現していない東京都平和祈念館(仮称)について、「検討に踏み出すべきだ」と求めました。
同祈念館は90年代に都が建設委員会を設置し、学者、文化人、公募委員、都議会各会派の都議も入って調査、議論を重ね、94年5月には「基本計画」も出されました。都は展示・公開のために、遺品や資料をはじめ330人から東京空襲などの証言を収録しました。
ところが99年の都議会第1回定例会で、「建設に当たっては、都の厳しい財政状況と従来の経過を踏まえ、展示内容のうち、未だ議論の不十分な事実については、今後さらに検討を加え、都議会の合意を得た上で実施すること」との付帯決議がつけられて以来、「建設してほしい」という声は置き去りにされ、凍結状態が続いています。
一方、「資料を公開してほしい」との要望は強く、都は公開を前提にデジタル化した330人分の証言映像のうち、本人や親族の了解を得られた122人分を編集したものを、今年2月28日~3月14日まで4カ所の会場で開催した「東京空襲資料展」で公開。昨年の2倍近い5005人の来場があり、証言ビデオの公開を高く評価する感想が多く寄せられました。常設展示を求める声もありました。
和泉都議は、財政状況はクリアしているとし、「多くの都民の要望に応え、都として平和祈念館設置のための提案を行うことは、付帯決議に応えるものだ」と主張。横山英樹・生活文化スポーツ局長は「都議会での一定の審議と合意が必要」と答弁しました。
和泉都議は昨年の第1回定例会で建設に向けた検討を求める5会派による共同声明を発表したことにも触れ、「都議会での世論も広がっている」として、重ねて平和祈念館設置の検討に踏み出すよう訴えました。
東京民報2024年4月7日号より