【アーカイブ】奨学金 新型コロナで収入減など、返済困難なら早めに相談を 支援機構労組 岡村書記長に聞く 〈2020年11月29日号より〉

 厚生労働省の発表で、新型コロナ関連の解雇や雇止めにあった人が6日時点で7万人超となりました。特に夏以降、宿泊を中心としたサービス業で多くなっています。こうした状況の中、日本学生支援機構などの奨学金の返済が厳しくなっている若者も増えているといいます。返済に困ったときの対応と、来年に新入学を控えた際の資金準備の注意点を、日本学生支援機構労働組合(学支労)の岡村稔書記長に聞きました。

一番危険なのは連絡しないこと

 日本学生支援機構(支援機構)はコロナ禍において、文部科学省の要請を受け、既存の基準に満たなくても返済期限・期間の猶予や減額返済に柔軟に対応しています。

 岡村さんは、一番危険なのは「返済できなくなっても支援機構に連絡をしないこと。早めに相談して欲しい。収入減の予想の段階でもいい位です。滞納(支払えない)期間が長くなるほど手遅れになり、追い詰められてしまいます」と強調。「返済できないと相談することが不利益になるのではなく、放置することが本人にとって不利益になる。1人で悩んでいても解決しません。将来にわたる不利益を回避しないといけません」と強調します。

奨学金の会署名提出集会の後、文科省前でスタンディング行動=11月11日、千代田区(岡村さん提供)

 支援機構の奨学金は民間の学費ローンと違い、10年の猶予を認めるなど所得に応じて対応しているといいます。将来のリスクに対応した相談対応もしています。

 相談なく滞納が続くと信用保証情報機関(クレジット利用状況)に「事故」扱いの記録が残り、のちにクレジットカードの発行や住宅ローン審査に支障が生じる可能性もあります。

借りる時も慎重に

 新入学の場合や、家計が急変した場合について、「コロナ対応の給付制度が大学にある場合は最優先すべきです。大学には学生支援課などの相談窓口があります。おっくうがらずに相談をすることが大切」と岡村さんは話します。

 奨学金利用の優先順位は①給付型②無利子③有利子―という段階建てがいいとのことです。手続きは複数機関に書類を提出するために煩雑ですが、「緊急採用の無利子や家計急変の制度から利用し、不足分を有利子にすることで利息分を節約できます」。

さまざまな仕組みを調べて

 さらに岡村さんは「自治体の低利の融資や、企業・団体などでも支給型奨学金があります。先輩に聞いたり、インターネットでも情報収集してみましょう」と話し、「奨学金を借りる前に何か利用できる制度はないか探すことと、“何にいくら必要か”を見ないといけません」と注意します。

 本当は「学生支援機構というならば、あらゆる支援を取りまとめ、申請支援をしなくてはいけません」と岡村さん。学支労は、奨学金の会(国民のための奨学金制度の拡充をめざし、無償教育をすすめる会)にも参加し、奨学金充実や業務改善の運動を進めています。

 また奨学金の会(電話03(3263)6069学支労気付)では、相談も受け付けています。

(東京民報2020年11月29日号より)

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