トラブルは一人で抱えず 新社会人の「働く」知識 東京地評メンバーに聞く〈2022年4月3日号〉

「自己判断であきらめないで」と訴える柴田さん(左)と松井さん

 学校を卒業した新社会人のみなさんは期待と不安に胸を膨らませていることでしょう。「どんな先輩がいるのか」「研修や業務についていけるだろうか」などに気を取られて、肝心の給与や休暇などの労働条件の確認がおろそかになりがちです。「あなたの会社は大丈夫?」―困りごとに発展する前のチェックポイントを東京地方労働組合評議会(東京地評)の柴田和啓副議長と、江東区労働組合総連合(江東区労連)の松井優希事務局次長に聞きました。

 入社時、会社は労働条件を明示する義務が課されます(労働基準法第15条)。勤務時間や給与、休日などの労働条件が記載された雇用契約書(労働契約書)に、双方が署名・捺印をして保管します。契約書がない場合は「労働条件通知表」を求めましょう。トラブルに発展した時に必要なのでなくさないようにしてください。松井さんは「書面が渡されず、口頭で説明されても法的には有効なので記録しましょう」と強調します。

 さらに「最近では従業員を募集していても、請負契約にするというケースも少なくありません。社員なのか、請負契約なのかにも気を付けてください。請負契約は手取りが多く見えますが、健康保険などは自分で支払います。失業給付や休業補償給付もない、職場の安全配慮義務もないために条件は劣悪です」と続けます。

 また、ハローワークや学校を通じた公的機関の求人は、入社後に条件が違うなどのトラブルがほぼありませんが、「インターネットの求人情報サイトなどには注意が必要」と警鐘を鳴らします。

 ハローワークなどでは法的に問題がある場合は排除されますが、民間業者の場合は企業の提示する情報をそのまま掲載することが少なくありません。中には「法外な研修費を要求し、仕事が回されないなどの詐欺的なトラブルも起きています。きれいなホームページなど、見た目に惑わされないで」と訴えます。

いざという時の相談先

就活生やアルバイト学生に向けて、チェックポイントと対応が記載されている東京都産業局が発効するパンフレット

 働き始めてからの注意としては「給与明細は捨てないで保管して。タイムカードや勤務表など労働時間の目安となる記録は大切です。会社にない場合などは手帳などに出退勤時間や休日は必ずメモして」と言います。残業時間や休日数などでもめた時に大切な記録となり有効です。

 松井さんは、「知識がなくて困ってしまうことは恥ずかしいことではない。当たり前です。相談する先を調べておいてください」と言います。「インターネットで〝有給休暇〟と検索しても正しくない情報が横行しています。〝知恵袋〟やSNS などでの素人のアドバイスは法的に根拠のないものが多いし、責任の所在もありません。東京都ろうどう110番や東京労働局・総合労働相談コーナーなど公的機関が信用できます」

 そして「入社して合わない、この会社はおかしいと思ったら退職も選択肢の一つですし、まず相談されることを勧めます。自己判断であきらめないで欲しい」と声を合わせます。

 2人は、こうした時に相談できるのは労働組合だと強調します。「会社に頼れる労働組合がない場合、1人でも加盟できる組合もあります」と話します。

 柴田さんは「労働者は法律で基本的な権利が守られています。また労働組合も法で守られていますし、個人で背負い込むことはありません。仲間が一緒に解決に向けて取り組みます」と説明します。

 松井さんも「会社に辞めるなという権限はありません。強制労働は禁じられています。1人で抱え込まないで」と強調します。

▶▶労働相談ホットラインはこちら(東京地評)

〈2022年4月3日号より〉

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