工事の大幅遅延、説明を リニア中央新幹線 山添氏ら国交省に聞き取り〈2022年5月22日号〉

 JR東海のリニア中央新幹線(品川―名古屋)事業をめぐり、昨年10月14日から北品川工区(品川区)で「調査掘進」という名で進められている地下40㍍以深の大深度地下を巨大なシールドマシン(掘削機)で掘るトンネル工事の進捗状況について、品川区や大田区、世田谷区などの関係住民と日本共産党の山添拓参院議員は10日、衆議院第一議員会館で国土交通省に聞き取りました。

 JR東海が昨年8月下旬から住民に対して行ったシールド掘進工事説明会では、今年3月末頃までに本掘進前の調査掘進を、北品川非常口の立坑から300㍍にわたり実施する予定でした。3月30日に更新されたJR東海の公式ホームページ「シールド掘進工事(調査掘進)の進捗状況」によると、50㍍程でとどまっている状況が判明。発進作業の着手から半年以上経過したのに、計画の6分の1しか進んでいない理由に関する質問がメーンになりました。

国交省に聞き取りする山添氏(右)と関係住民ら=10日、千代田区

 国交省の担当者は、「現在はシールドマシンの後ろに、運転操作室などを載せた台車を連結する作業を行っている。併せて、シールドマシンの点検を実施していると聞いている」と回答。リニア中央新幹線として初のシールドトンネル工事であることから、「丁寧に確認をしながら慎重に掘進を進めている」という説明にとどまりました。

 山添氏が「(スケジュール通りに行われていないのは)想定外の事情が生じているわけではないのか」とただすも、国交省は同じ答弁を繰り返すばかりでした。

住民に募る不信感

 大深度地下のシールドトンネル工事は、NEXCO東日本が進める東京外かく環状道路の工事でも採用されており、2020年10月に調布市の住宅街で陥没事故が発生。今年4月には練馬区の大泉ジャンクション付近でシールドマシンと鋼製地中壁の接触事故が起き、マシンの部品損傷により工事が停止。工事への信頼性が大きく揺らいでいます。

 参加者からは「50㍍は誤差の範囲ではない。何か不都合なことが起こっているとしか思えない」「答弁を聞くと不信感が募るばかり」「リニア事業を認可した監督省庁として、責任感を持ってほしい」など、憤りの声が噴出。「現段階で住民に説明会を開くべき」と強く求めました。

 日本共産党の品川区議団から、のだて稔史区議が調査掘進で確認された地盤・構造物の変異、振動、地下水などへの影響を表す指標、家屋調査の申し出と実施件数の提示を要求。国交省側は具体的な指標を把握しておらず、北品川工区における家屋調査への協力依頼の案内は、北非常口に近いエリアから品川区戸越6丁目付近まで、沿線ルート上にあたる「約900軒にチラシを入れている」とだけ答えました。

 山添氏は「調査掘進の段階ですらこういう状況。本掘進が始まり、何か起こったときは国交省も含めて責任問題になる。もっと重く受け止めるべき」と訴えました。

 リニアから住環境を守る田園調布住民の会(三木一彦代表)は今回の聞き取りに先立ち、今月1日に調査掘進の大幅な遅延に関わる住民説明会を求める要望書をJR東海に提出。20日までの回答を求めています。

〈2022年5月22日号より〉

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