都の環境影響評価審議会総会が12月26日、開かれ、樹齢100年を含む多数の樹木を伐採し超高層ビルを建設する神宮外苑再開発計画の環境影響評価書素案の審議が行われました。審議会は都ホームページ上で直前の20日に発表され、傍聴受け付けは23日までに終了、都庁記者クラブへの文書通知や環境局ツイッター上のみの周知で、都議会や市民団体に連絡はありませんでした。
同計画を巡っては、見直しを求める11万人を超える署名が提出されるなど、イチョウ並木などの樹木保全を求める声が広がり、同趣旨の国会議員連盟が発足し、都議会でもイチョウ並木の確実な保全を求める陳情が全会一致で採択されています。
日本共産党都議団の和泉なおみ幹事長は29日、「小池知事は着工を許さず、事業者に誠実な対応を求めよ」との談話を発表。「都民 ・国民の大きな注目が集まっているにも関わらず、年末の間隙を突いて、十分な告知もなくひっそりと審議会を開催し、また複数の議題の一つとして小さく扱い、重要な審議をやり過ごそうとした東京都の姿勢はきわめて重大」だと批判。
一方、審議会会長はじめ委員の奮闘によって、イチョウ並木の根茎調査を事実上着工前に行い、その結果に基づき改めて審議することが確認されたことは、「きわめて重要」と強調。同時にこれまで寄せられた疑念や確認事項についての明確な前進はなかったとし、「工事着工の条件はない」と、断じています。
「神宮外苑を守る有志ネット」とユネスコの諮問機関の日本イコモス国内委員会は26日、都が十分な周知もなく開催したことに抗議する声明を発表。有志ネットは、審議会が十分な告知もなく急きょ開催したことは環境アセスの公開性に反し、都民参画を求める都条例を阻害するものだと批判。「26日の審議会は無効とし、再度広く周知して開催すべきだ」と訴えています。
日本イコモスの石川幹子中央大学研究開発機構教授、ウェブ署名に取り組む米国人コンサルタントのロッシェル・カップさんらが同日、記者会見。石川氏は環境アセス条例に基づく事業の実施制限を解除しないよう求め、カップ氏は「年末の忙しい時期に重要な審議会を開くのは異常なこと。一貫して市民参加が不十分だ」と批判しました。