都議会予算特別委 認知症希望条例制定を 尊厳持ち暮らす長寿社会に 里吉ゆみ都議〈2023年3月26日号〉

 2023年度予算案について一問一答形式で質疑する都議会予算特別委員会で、日本共産党の里吉ゆみ都議(世田谷区選出)は9日に立ち、認知症高齢者への支援体制について質問。認知症になっても尊厳と希望を持ちながら安心して暮らしていける長寿社会実現のために、「認知症希望条例」制定を提案しました。

一般質問に立つ里吉都議=9日、都議会

「認知症になったら直らない、だから全部周りがサポートするしかないと思い込み、正しい気遣いもできなかった」。里吉都議は、認知症になった当初の母の介護について、自戒を込めて語りました。

 認知症とは病名ではなく、脳の記憶に関わる機能が少しずつ低下することによる日常生活に支障のある状態の総称。引き金になる病気は70種類以上あるといわれています。原因になる病気によって症状の現れ方、経過や進行は大きな違いがあります。

 認知症になっても感情は残り、理解できること、できることもたくさんあり、自分で決めることもできます。

正しい知識を広げる大切さ

 里吉都議は「認知症についての正しい知識を広げることが大切ではないか」と質問。小池百合子知事は「周囲の理解や気遣いがあれば、穏やかに生活することができる。様々な機会を通じて普及啓発を進め、認知症の方とその家族が地域の中で安心して暮らせる社会を実現していく」と答えました。

 里吉都議は世田谷区で認知症当事者も加わって制定された「認知症とともに生きる希望条例」を例示し、施策や計画を策定する際に当事者を加える重要性を強調しました。

 認知症の初期対応の重要性について、西山智之福祉保健局長は「早期の適切な治療により、改善する場合や進行を遅らせる場合があり、症状が軽いうちに本人や家族が認知症への理解を深めることで、今後の生活の準備ができる」と答弁。居場所づくりや専門職による相談支援体制の整備などに活用できる認知症地域支援推進事業を3区が活用したとしました。

 里吉都議は認知症に「備える」事業への「都の補助は重要」としつつも、補助率が2分の1と低く、自治体が使いにくいために、わずか3区にとどまっていると強調。「都の補助率を引き上げるなど、区市町村とともに認知症になっても安心して暮らせる地域づくりを進めてほしい」と訴えました。

支える家族会 役割が重要

 「認知症の人の家族としての思いや悩みを共有し、様々な情報を交換することで、本人や家族を支える役割を担っている」。西山福祉保健局長は、里吉都議の質問に家族会の果たす大切な役割を認めました。

 里吉都議は「母の言動のおかしかったことや信じられない行動を話し、『そういうこともあるよね』と共感してもらえるだけで、救われる思いをしたことが何度もあった」と、体験を紹介。都として区市町村とも協力して、都内各地で家族会が活動できるような支援を求めました。

 また介護職員の処遇改善に向けて、都独自の賃金引き上げ策の検討、宿舎借り上げ事業の対象職種の拡大、認知症グループホームや小規模多機能施設への直接支援を提案しました。

生物の多様性 開発から守れ

 里吉都議は開発から生物多様性を守る課題を取り上げ、住民の反対運動が起きているGLP昭島プロジェクト(昭島市)という巨大物流センター計画に対し、民間事業であっても、都として生物多様性の回復を求める立場から積極的に働きかけるよう求めました。

 同計画は敷地面積59万平方メートル、東京ドーム12個分の広さがあり、樹木が生い茂り、絶滅の心配があるレッドリストに載っているオオタカはじめヤマガラ、ショウビタキなどの野鳥や貴重な動植物も生息。この場所に物流倉庫やデータセンターなど16棟の建物を建て、24時間稼働させます。

 都は自然保護条例に基づき、良好な自然地や歴史的遺産と一体となった樹林などを都民の大切な財産として末永く残していくため、公有地、民間地の区別なく保全地域を指定し、行為規制によりその自然環境を保全しています。現在、50地域、約760ヘクタールを指定。50年度までに新たに100ヘクタール程度を拡大する目標です。

 里吉都議は東京の生物多様性の劣化の直接的要因について、都環境基本計画で「開発など人間活動による影響を第一の危機」として挙げていると指摘。「開発の危機と察知した土地を都が公有地化するなど、積極的な取り組みが必要」と求めました。  栗岡祥一環境局長は「土地の所有者から買い入れの申し出があった場合は、都が土地を買い入れることになっている」と答弁。里吉都議は「開発によって(生物多様性が)失われる可能性あると判断した土地は、先手を打って地権者と交渉すべきだ」と主張しました。

東京民報2023年3月26日号より

関連記事

最近の記事

  1. 共産党都議団 都営住宅LED化を  日本共産党都議団は5月23日、都営住宅・公社住宅の電気代…
  2. ① 発がん性物質PFAS「都は汚染源特定し対策を」多摩地域 都調査で21自治体検出 ② PF…
  3. 1面2面3面4面 【1面】 ジェンダー平等 男女ともに幸せに アイスランド大使が講演 …
  4. 国会前の「入管法の改悪に反対する大集会」で=12日  5月12日金曜日、参議院の本会議で入管…
  5.  広島市で開かれたG7サミットが21日、閉幕しました▼初めて被爆地で開催されたサミットとして、核兵…

インスタグラム開設しました!

 

東京民報のインスタグラムを開設しました。
ぜひ、フォローをお願いします!

@tokyominpo

ページ上部へ戻る