【書評】モデルなき変動期への覚悟 『百歳人生を生きるヒント』 五木寛之 著

 日本人の平均寿命は男性81・64歳、女性87・74歳(2020年)。100歳以上の人口は9万526人(2022年)で、年々増加しています。現在75歳前後の団塊の世代(約350万人)の平均余命は約13年あり、平均でも88歳頃まで生存することになる。百歳まで生きる確率は高くはないものの、大変な高齢化社会です。

 85歳になった著者が、これから多くの人が遭遇する高齢期を生きる覚悟について書いた本です。「定年」や「年金の支給開始」の先の人生設計は具体的でないのが普通です。無理もありません。いきなり「70歳代・80歳代の生き方をどうするか?」と問われても戸惑うばかりです。世界を見渡してもどこにもそんな長寿社会の生き方のモデルはないからです。

日本経済新聞出版 2017年
858円(税込)
いつき・ひろゆき 1932年福岡県生まれ。朝鮮半島で幼少期を送り、47年引き揚げ。67年『蒼ざめた馬を見よ』で直木賞ほか著書多数

 著者は百歳人生に抱く不安は、①経済的変動に対する不安②社会情勢に対する不安③健康問題に対する不安―の三つであるとして、これまでの死生観や人生観を転換し、新しい生き方・哲学を打ち立てようと呼び掛けています。百歳まで寿命が延びることは、人類の歴史の中で「超」がつくほどの大変動であり、この変動期に私たちは遭遇していることへの覚悟を呼び掛けているのです。

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