街角の小さな旅33 江戸から現代まで生命と財産を守る 東京消防博物館と旧甲州街道

 5月5日、こどもの日。東京消防博物館(四谷三丁目駅)は大好きな消防車に目を輝かせる子どもたちで占領されていました。エントランスには消防ヘリコプター。地下には1923年の関東大震災の翌年に輸入されたアーレンス・フォックス消防ポンプ車や日本で初めて高層建物火災で活躍した、いすゞ・メッツ梯子自動車など近代都市東京で活躍、都民の生命と財産を守った消防車がずらりと並び壮観です。

消防博物館

 その東京の消防の歴史は江戸の火消しから始まります。

火事と喧嘩は江戸の華

 石造りのヨーロッパの町と違い、木と紙でつくられた日本家屋の江戸のまちはくり返し火災に襲われ、江戸の260年に及ぶ歴史の間に90件に及ぶ大火が発生。ほぼ3年に一度は江戸の町が火炎に包まれる大火に見舞われました。

 なかでも江戸城天守閣が焼け落ち、「万石以上の御屋敷五百余宇、御旗本七百七十余宇、堂社三百五十余宇、町屋四百町、焼死十万七千四十六人といへり」(武江年表)もの被害を生んだ1657年の明暦の大火、類焼大名屋敷169、町934、橋170、寺38に及んだ1772年の目黒行人坂の大火、下町を中心に500町余、類焼12万6000戸の1806年の文化(丙寅〈ひのえとら〉)の大火がありました。

 そのため、江戸城と武家地の消防にあたる大名火消と定火消、町人地区を守る町火消が組織されました。赤穂浪士が討ち入りにあたって着用していたのが大名火消の火事装束、いろは47組の町人火消の目印が纏(まとい)と幟(のぼり)。

 博物館には「消防の夜明け(江戸の火消し」「消防の変遷」「現代の消防」のコーナーがあり、歴史的な消火器具の現物展示、豊富な資料や映像などを通じ、江戸から現代にまで至る消防の歴史を学ぶことが出来ます。また、消防ヘリコプターの体験コーナーもあり、子どもたちの人気スポットとなっています。

東京おもちゃ美術館

東京おもちゃ美術館

 博物館から歩いて10分ほどの所に廃校となった小学校の校舎を利用した東京おもちゃ美術館があります。

 同館は「市民立」の美術館で「一口館長制度」にもとづくお金の寄付とボランティアの「おもちゃ学芸員」の時間の寄付で運営されています。世界100カ国から集められた世界のおもちゃが展示されている「きかくてんじしつ」、無垢の国産材でつくられている「おもちゃのもり」、おもちゃを手造りできる「おもちゃ工房」などこどもたちがあそぶ・つくる・であう場、電子ゲームなどでは決して得られないゆたかな感性を育むことのできる場です。

 全国に12カ所開設されており東京には奥多摩に「檜原森のおもちゃ美術館」もあります。

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