保険証廃止、立ち止まって 保団連 トラブル調査の最終報告〈2023年7月2日号〉

「マイナ保険証の強要で受診抑制、医療崩壊の恐れが」と保険証の存続を訴える医師ら=6月21日、新宿区

 10万人を超える開業医などが加盟する全国保険医団体連絡会(保団連)は6月21日、記者会見を開き、「マイナ保険証による医療機関のトラブル調査・最終報告」を発表しました。会見には同会の役員ら現役の医師が診療の合間に参加。トラブルの実態と現行の健康保険証の継続を訴えました。

 調査は41都道府県から6万6462件が寄せられ、「トラブルあり」が65.1%という実態が明らかになりました。

 資格確認ができない際、患者から10割を徴収する問題では、相手が納得せず警察を呼ぶほどの葛藤が生じており〝働く人たちの心が折れている〟という指摘もありました。この点で国はマニュアルを改訂。資格確認ができない場合も患者から3割の徴収となりましたが、無保険者の場合に残る7割を国などが負担するという担保もなく、経営悪化の一因となる懸念も示されています。

 さらに同会によると▽他人の顔で認証できてしまった▽特定健康診断のデータが取り違えられている-などの問題も新たに露呈し、制度自体の根幹にかかわるだけでなく、プライバシー侵害や健康被害さえ起こりかねない懸念が生じています。障害者手帳(身体・精神・知的)との紐づけの問題では、「知られたくない情報が拡散されたら困る」という相談の声が同会に寄せられています。

 「難病医療費助成や子ども医療費助成など、国や地方自治体の制度が複雑な中での混乱も予想される」との告発もありました。

 会見に参加した医師は「何の落ち度もない患者と医療機関の間に対立をあおるやり方。誰も責任を取らない」と批判。「受付で止まって診療にたどり着けない人もいる。悪いのは政治。いったん立ち止まって検証しないと困る人が増える。保険証があればなんとかなる」と保険証廃止に警鐘を鳴らしています。

東京民報2023年7月2日号より

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