杉並区の岸本聡子区長は12日、学校給食費を10月から無償化すると発表しました。区によるとすでに実施しているか、実施を計画しているのは、23区で20区目。国が無償化するまでの暫定的措置とし、来年3月までの経費9億4000万円を9月議会に提出する補正予算案に盛り込みます。区立小中学校63校、特別支援学校1校の計64校に通う約3万人の児童・生徒が対象です。
学校給食費の無償化は、昨年7月に就任した岸本区長の選挙公約。区教育委員会事務局に11月に設置した検討委員会で、保護者の教育費の負担軽減について検討を進め、「保護者の負担額が高く、より多くの児童生徒が対象となって公平に給付できる学校給食費の無償化が望ましい支援策の候補に適している」との結果をまとめています。
岸本区長は会見で、検討結果に無償化実現への思いを強くしたが、「給食費を含む義務教育の無償化は本来、国で全国一律に実施すべきこと」との考えを示し、「子どもを支援するという社会の合意を国に伝えるため」にも踏み出したと強調しました。来年度の継続については、財政上の課題などを整理した上で検討するとしました。
就任から1年を振り返り、「情報提供と対話に多くの時間とエネルギーを充ててきた」とのべ、区民参画の取り組みを紹介。2年目はこれらを加速するとして、区民が予算編成の過程に直接参加する「参加型予算」や、気候変動について学び議論する中で出たアイデアを区の施策に生かす「(仮称)気候区民会議」の実現に意欲を示しました。 また区長選で大きな争点となった区立施設再編整備計画について、これまでの取り組みの検証を踏まえ、今年度実施する同計画の改定に反映するとしました。
東京民報2023年7月23日号より