来年に迫った都知事選挙に向けて、革新都政をつくる会が8月24日、3度目となる連続学習講演会を行いました。日本共産党中央委員会の基地対策委員会責任者の小泉親司元参院議員が「東京の平和と基地」と題して講演しました。
6月に閉会した国会論戦のなかで、昨年末に閣議決定された安保3文書の敵基地攻撃能力、43兆円の大軍拡、大増税などの実態が明らかになったことで、来年の都知事選でも「戦争か平和か」が大きな争点になると語りました。
小泉氏は防衛省の防衛整備計画によると、防衛費は5年間で43兆円に留まらず、これとは別に次期に流れ出す期間外歳出として16.5兆円が予算化され、実際は60兆円近くなると指摘。次期以降に計上していけば、防衛費は増え続ける仕組みで、財源は大増税を前提にしています。子育て・教育予算確保の道筋すら立てられない一方で、軍拡に突き進んでいます。
防衛費がここまで増えた最大の理由は、アメリカの攻撃的な兵器を導入するためだと指摘。防衛省が米政府から買った兵器は以前は、年間約1000億円から2000億円で推移していましたが、安倍政権下の2015年に4000億円台を突破。2019年には7013億円になりました。岸田政権は23年度予算で、1兆4768億円を計上しています。
この10年間アメリカは本格的な戦争をしていないため、日本はまさに米国軍需産業を救出する存在だと、指摘。その一例として、昨年購入したトマホークを米政府は製造元のレイセオン・テクノロジーズから1発2億円で購入しましたが、日本は1発を5億円で400発を購入することをあげました。
2022年の防衛省の契約高別では米政府が国内企業を抜いてトップに。税金がアメリカの兵器購入に注ぎ込まれています。
自衛隊が進める国土強じん化計画は都内14カ所で進められ、多額の税金が投入される予定です。小泉氏は「政府は強じん化は核戦争に備えるためというが、住民の防護は含まれてない」と指摘し、戦争に向かう危険な方向だと批判しました。
一変した横田基地
続いて、小泉氏は危険な変貌を遂げている横田基地の実態を示しました。
横田基地は、①首都にある広大な米軍基地②横田エリア(米軍専用空域)の存在③周辺地域が米軍の訓練場になっている-という3つの異常を抱えていると指摘しました。
特に2005年の米軍再編合意で、CV22オスプレイが配備されたことで横田基地の機能は、これまでの輸送の中継基地から一変。米軍特殊部隊の配備で訓練の中身も様変わりしました。
2012年にはC130輸送機からのパラシュート降下訓練が突然始まりました。他国の軍隊が何の合意もなく、首都上空で危険な訓練を行うのは極めて異常です。基地の撤去を前提とした訓練の中止を要求できる知事が必要だと語りました。
小泉氏は、都知事選は首都東京から、核も基地も戦争もない平和で豊かな国づくりを発信する絶好のチャンスだと力を込めました。
特別報告として、社会医療法人社団健生会の蓮池安彦常務理事が「告発!横田基地PFAS汚染」を報告。同法人が協力した、地域住民650人の血中のPFAS濃度調査の結果、ほぼ全員から検出されました。健康被害を心配する希望者にはPFAS相談外来を設けて対応しています。
今後は、保健所や地域医師会と協力した相談体制の確立、検査体制の構築、汚染源の特定などが課題だと語りました。
東京民報2023年9月3日号より