【国会議員コラム】山添拓*未来を拓く 特別編「招聘」研修でフランスへ 政治と社会に触れた1週間〈2023年10月1日号〉

 9月17日から一週間、パリを訪れました。昨年11月、フランス大使館から連絡があり、同国外務省主催の「将来を担う人材招聘プログラム(PIPA)」の対象者となったと知らされました。世界各国から毎年75人を招待し、各自の希望するテーマで研修を受けさせるというもの。1989年に始まり私は世界で2167人目、日本人では35人目。政治家に限らず様々な分野から選ばれるようですが、駐日フランス大使館は、私の弁護士や参議院議員としての活動、ジェンダー平等へのとりくみなどから本国に推薦したとのことでした。

市民団体「Elles Aussi」のみなさんと

 どんなテーマを希望するか、国会のスタッフとも相談し、①政治参加や雇用などジェンダー平等についてのフランスの状況、②フランスにおける公共交通政策-をお願いしました。

 滞在中は政府関係者や市民団体、研究者や事業者などと合計16のセッションが用意されました。フランスはバカンス明けで直前まで予定が確定しなかったようで、詳細日程が届いたのは出発の2日前という緊張感も…!

 ジェンダー平等をめぐっては、例えば政治分野のパリテ(男女同数)を求める市民団体「Elles Aussi(エルオッシ:彼女らもまた)」と懇談。1992年、カトリック系の女性団体が母体となってつくられ、全国の様々な女性団体の一致する要求として、党派や宗派を超えて共同してきたといいます。パリテ法の制定で地方議会でも国会でも女性議員の割合が急激に増加。それによってなにが変わったかと問うと、「すべてが変わった」「女性が参加しやすい時間での会議にする、小さい街でもそれまでなかった保育施設がつくられる」など。ちょうど日本では、岸田政権の内閣改造で副大臣や政務官に女性がゼロだったこともあり圧倒されましたが、「大事なことは意思だ」と強調して励まされました。

 期間中最後のアポイントとなったパリ市役所では環境に配慮した交通の建設を担当する助役と面談しました。「パリの車を半分に減らしたい。そのために鉄道の整備と自転車の活用を進めている。鉄道の無料化と自動車の小型化が今後の課題だ」と話すボードリエ氏はフランス共産党員でもあり、大企業に負担を求めて交通網を整備してきたことを説明し「大成功だ」とも。パリ市長のイダルゴ氏は社会党、フランス共産党は与党ということもあってか、スケールの大きい話を聞くことができました。

 外務省のプログラムとは別に、フランス最大の野党「服従しないフランス」の議員たちと会う機会もつくりました。昨年、東京の国会議員会館でお会いしたオレリアン・サントゥール議員との再会を果たし、やはり同世代のエルシリア・スージ議員、マチルド・パノー議員団長ともお話しできました。同党はフランスでは数少ない反原発を掲げる政党であり、福島第一原発の汚染水海洋放出問題や中絶合法化など話題は多岐にわたりました。フランスで「同志」と呼び合う友人を得たことは、とてもうれしい。

 滞在中は多くの予定が組まれ慌ただしい日々でしたが、歴史と活気に満ちたパリの街並みを目にしながらの、たいへん刺激的で充実した一週間でした。

「服従しないフランス」の議員団と懇談

(弁護士・日本共産党参院議員)

東京民報2023年10月1日号より

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