神宮外苑 再開発とめ文化・歴史守る 都議6会派40人で議連発足〈2023年10月15日号〉

 神宮外苑地区の再開発事業の見直しを求める議員連盟が都議会で発足し、5日に記者会見と市民との集会を都議会内(新宿区)で開きました。「神宮外苑再開発をとめ、自然と歴史・文化を守る東京都議会議員連盟」で、加わるのは日本共産党、立憲民主党、ミライ会議、生活者ネット、グリーンな東京、自由を守る会の6会派、40人。都議会定数(127、欠員10)の3分の1ほどを占めることになります。

記者会見する議連の役員ら=5日、都庁

議会定数の3分の1に

 会長に田の上いくこ(ミライ)、副会長に岩永やす代(ネット)、上田令子(自由)、漢人あきこ(グリーン)、須山たかし(立憲)、原田あきら(共産)、事務局長に尾崎あや子(同)、事務局次長に中田たかし(立民)、もり愛(ミライ)の各都議が就任しました。

一致点で力合わせ

 会見で田の上会長は「この地の自然と歴史、文化を守ることは神宮外苑を創建した人々の志を生かす都の使命です。イコモス(国際記念物遺跡会議)の警告に都の真摯な対応がなく残念。都民と思いを一つにし、緑の少ない東京の緑を守るために力を合わせてまい進する」と表明しました。

 岩永副会長は「風致地区第一号の貴重な景観、緑は都民の財産です。超党派で力を合わせて守っていきたい」、上田副会長は「伐採延期は再開発に反対してきた市民の思いが一つになってのこと。議連とも思いを一つにできる記念すべき日です」と発言。

 漢人副会長は「地域の公園、緑地で生物多様性を無視する伐採、移植をする街づくりを見直す転換点になる取り組みに」、須山副会長は「木や文化を守り、継承していくことこそが政治に携わるものの責任だと強く感じている」と表明しました。

 原田副会長は「都市計画審議会委員として、再開発手法が悪用、脱法的に行われてきていると感じている。多くの会派との一致点で外苑問題から東京のまちづくり全体を考えていきたい」と語りました。

 また、議連の今後の活動への質問に答えて原田副会長は、「都が公共性のない一地権者や事業者の経済的な思惑で都市計画を変えたのではないかと疑われる資料が、もし開示されれば、再開発事業に重大な影響を及ぼす。情報公開は議連が活動する上で非常に重要になってくる」と強調しました。

市民から期待が
「有志の会」から申し入れを受ける議連の都議ら=5日、都庁

 市民との集会では、市民グループや個人が、それぞれの取り組みや思いをのべ、議連への期待、要望も出されました。

 日本イコモス国内委員会の石川幹子理事は「都や事業者に20の提言、要請を行ってきたが全く無視された。事業者のイコモスへの反論は、あまりにも非科学的で言葉もない。間違いは直し情報公開をしてほしい。都と事業者は対話のテーブルに着くべきだ」と訴えました。

 オンライン署名に取り組む米国人コンサルタントのロッシェル・カップさんは「外苑再開発の問題は、樹木の伐採だけでなく民主主議の問題と感じた。ぜひ頑張ってほしい」と期待を込めました。

 「明治神宮外苑を子どもたちの未来につなぐ有志の会」の加藤なぎさ代表が、再開発をめぐるまちづくりに、子どもたちの意見を取り入れる政策実現を要請しました。

事業者反論を検証

 議連では今後、再開発事業をめぐってユネスコ(国連教育科学文化機関)諮問機関のイコモスが発した三井不動産など事業者に計画撤回、都に環境影響評価の再審などを求めたヘリテージ・アラートに対する事業者の反論について、調査検証をするほか、都への情報公開請求や事業者への意見聴取も必要に応じて検討するとしています。

東京民報2023年10月15日号より

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