国立ハンセン病資料館の受託事業者の日本財団と笹川保健財団が、パワハラ・セクハラなどの問題解決に向け労働組合活動を行う学芸員2人を不当解雇した争議が勝利和解し10月28日、国家公務員一般労働組合ハンセン病資料館分会による報告集会が開かれました。
同争議は3年以上の月日を費やしました。両財団は東京都労働委員会の職場復帰命令などの命令を無視し続け、中央労働委員会での和解に至りました。両氏とも職場復帰はかないませんでしたが、これまで労組の活動を一切認めず弾圧をしてきた行為を改善し、全国ハンセン病療養所入所者協議会(全療協)の意見を取り入れることなどが盛り込まれた画期的な内容となりました。
弁護団の今泉義竜弁護士が「公務の民間委託の問題は『いつでも切れる(解雇)』が根本にある」と指摘。「職場復帰には至らなかったが、資料館運営の正常化に向けてなども含め全ての要求が受け入れられた勝利。公共を取り戻すという点からも意義あるもの」と報告しました。
当事者の稲葉上道、大久保菜央両氏は感謝の言葉を述べました。稲葉氏は「今後は在野でハンセン病の歴史を啓もうする取り組みを続けたい」と述べ、大久保氏は「このたたかいは職場復帰できなかっただけ。(資料館の正常化に向けて)たたかいの第2章が始まった」と語り展望を示しました。
東京民報2023年11月5日号より