公平・公正性に問題があるとして教育関係の専門家や保護者らが中止を求めている東京都教育委員会による英語スピーキングテスト(ESAT-J)が、公立中学3年生を対象に11月26日、都内227カ所の都立学校や民間施設などで行われ、約7万人が受験しました。同テスト実施を前に、都立高校入試に活用しないよう求める都民集会が11月22日、都議会内で開かれました。オンラインを含め80人が参加しました。
同テストは都教委がベネッセに委託して実施。同事業者が今年限りで撤退し、来年からはイギリスの公的機関に代わります。
集会に先立ち同テストの入試活用を中止するための都議会議員連盟が総会を開催。風間ゆたか会長(立憲民主党)が「中止するまで力を合わせて取り組んでいく」とあいさつ。とや英津子事務局長(日本共産党)が、昨年10月の発足以降の活動を報告。「これまでやってきたことを共有し、明日からの活動につなげたい」と決意を語りました。
集会では神奈川大学の久保野雅史教授が講演し、スピーキングテストの様々な問題点を指摘。「部分的改善では解決できないテストと入試への利用がはらむ深刻な欠陥を検証すべきだ」と強調しました。
中学校の英語教員は、テスト結果が都立高校で活用されていない実態を告発。「スピーキングテストに使う35億円があれば、どれだけのネイティブ(英語を言語とする人)の先生を授業に呼べることか。予算は不足する英語教員の改善などに使ってほしい」と訴えました。受験生の保護者からは「このテストがあるので希望していた都立高を受験するのをあきらめた」との声がありました。
入試改革を考える会の大内裕和代表(武蔵大学教授)は、防音用のイヤーマフを着けても音漏れがあったと多くの受験生が証言したのに、都教委の対策は着用の仕方のチラシを配っただけで、検証もしていないと告発。自らが原告となって同テストの公平性・公正性などを問う住民訴訟について報告し、支援を呼びかけました。
集会を主催した同会や都議会議連などは、昨年と同様、試験後に受験生や保護者にアンケート調査をするとし、都教委にも検証を求めていくことにしています。
東京民報2023年12月3日号より