「同一賃金」を認めず 西東京バス 高裁が訴え棄却〈2023年12月17日号〉

八王子駅前を走る西東京バスの車両。旧多摩バスの塗装色のまま社名だけ書き換えられて運行中のものも残っている

 「同じバスで同じ区間を運行している正社員の運転士間で、賃金に年間100万円以上の格差がある問題の解消」と併せて、「社員食堂や飲食店も近接していない営業所で2時間の休憩中にコンビニエンスストアで現金で食事を購入したために受けた懲戒処分の取り消し」を求めていた西東京バスの労働者の訴訟で5日、東京高裁は原告の安田崇弘さんの訴えを棄却しました。

 訴えられた同社は八王子市や青梅市などの東京西部を中心に路線バスを運行する、京王電鉄の連結子会社。運転士の処遇の切り下げのために設立した連結子会社の多磨バスを2011年に再度、吸収合併し、待遇の低い労働条件を維持したまま「一社二制度」といわれる待遇が、今日まで10年以上もまかり通っています。

 裁判では、国が正規職員と非正規職員の格差解消のために、「同一賃金同一労働」を進める中で出身会社による差別処遇を維持し、「労災隠しやパワハラ問題が相次ぐ京王グループのコンプライアンス能力」が問われていました。

 弁護団は「判決は労働条件を統一せぬまま差別してきたことを、他社の事例を無視して会社の言い分だけを鵜呑みにして認めた。実態を見ていないひどい判決だ」と強調。

 同訴訟を支援する会の佐々木仁副会長は「判決は公序良俗に反していると言わざるを得ない。普通の労働者、生活者の感覚からしたらおかしくないでしょうか」と語気を強めました。

 原告の安田さんは「署名もインターネットを含めて極めて短時間ながら700人以上の協力があって提出したが、残念な結果になった。自分だけではなく、バス運転士が生活できるような賃金にならないといけない。最高裁に向けて取り組むので、引き続き支援をお願いします」と決意を語りました。

東京民報2023年12月17日号より

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