東京国際福祉専門学校(2021年廃校)などの運営法人である東京国際学園が労働組合活動を妨害し、組合員の待遇を引き下げ、出勤を停止させた後に一方的に廃校を強行して解雇した問題の訴訟で7日、東京地裁で証人尋問が行われました。
証人として被告側から学園理事長で東京外語専門学校校長の梶原康平氏が出廷。同氏に対する尋問の中で、組合との団体交渉に上部団体である東京私立学校教職員組合連合(東京私教連)の参加を拒否していた経緯が確認されました。また組合が求めてきた財務諸表(財産目録、貸借対照表、収支決算書など)の開示についても、拒否してきた事実も明らかになりました。これは私立学校法第47条(毎会計年度終了後2カ月以内に財務諸表を作成し、備え置き閲覧に供しなければならない)に抵触しかねない問題です。
こうした事実に対し梶原氏は「組合により学園全体の数字が喧伝され、学生募集に影響すると考えた」と答え、「教育の質を高めたい」と願い活動する組合への偏見を口にしました。さらに組合に対し「学園が(定員割れなどで)大変な時に、自分たちの要求をするとはどういうことか」という内容の発言を行うなど、労働者の権利を理解する姿勢がないワンマン経営をうかがわせました。また原告3人の解雇に際して、理事会での議論が不十分であったこともみえてきました。
一方、原告の同校教職員組合委員長である浜田真一さんは「(尋問で明らかになった内容に)なぜ、団体交渉で(事実を)言ってくれなかったのか」といぶかりました。
同校労組は専任教員にも関わらず全員が1年契約であり、教務主任やクラス担任も非正規では「教育の質を高められない」と、対等の話し合いを求めて2019年に結成。裁判では①不当解雇取り消し②座席隔離や情報遮断などのハラスメントへの損害賠償③非常勤講師の無期転換―を求めて争っています。
一方で法人側は「教職員は雇用ではなく業務委託契約。解雇は経営悪化に基づく」などと主張し、訴えに背を向け続けています。同法人では3人の不当解雇後、教職員の新規採用選考に少なくとも3人が応募していたこともわかっています。
東京民報2023年12月24日号より