国際競争力強化を理由に加熱する“東京大改造”都市再開発問題をめぐり、日本共産党の国会議員、都議、地方議員らは1月24日、国会内で意見交換を行いました。
笠井亮衆院議員が、「都内では高さ150メートル以上の超高層ビルが180棟あり、8割以上が2000年以降に建てられたもの。今、200メートル以上の超高層ビルが建設される大改造の真っただ中にある」と、開発問題に取り組む必要性を説明。「『稼ぐ東京』と銘打ち、外国人を呼び込んで都心の一等地を大企業に利活用する狙いが、明け透けに見えてきている」と指摘し、気候対策への逆行、大胆な都市計画規制緩和による容積率の上乗せ、財界やデベロッパー主導で住民参加が乏しい実態などについて、考えたいと語りました。
吉良よし子参院議員は、「再開発は住民の意向を無視し、伝統や歴史、さらには緑まで壊していく。許しがたい」と主張。山添拓参院議員は、「乱暴なやり方で進めてきた国家戦略特区の問題を浮き彫りにし、政策的にも新たに提案していきたい」と述べました。
都議団から、原田あきら都議が報告。「都の都市再開発は、資本主義の末路と言えるような状態を呈している。完全に持続可能ではない」と強調。
神宮外苑再開発を例に挙げ、「再開発等促進区を定める地区計画」の強引な適用、「公園まちづくり制度」により都市計画公園区域を削除、容積率の移転・集中で、超高層化する異常な手法を告発しました。
都が都有地を市街地再開発事業の種地として明け渡すだけでなく、再開発組合に都が地権者として参加するケース、多額の税金を投入して大型再開発を進めながら、一方では気候変動対策に2〜3千億円ほどの予算をつぎ込むなど、矛盾に満ちた実態を明らかにしました。
15の市街地再開発事業の計画・検討が進む千代田区から、前区議の木村正明氏が発言。再開発に賛成する地権者と懇談したところ、所有ビルの老朽化に対応できる資産がなく、計画に乗らざるを得ない状況に置かれている実態を報告。「リノベーションや耐震化に対する公的な補助を手厚くしてほしい」と語り、「(無償の分、権利が弱い)使用貸借で住んでいる高齢者も多く、零細権利者を助ける施策も検討すべき」と訴えました。
住民主導のまちづくりに
中央区のおぐり智恵子区議は、「民間企業も含め、31カ所の再開発事業が区内で動いている」と、日本橋区間における首都高速道路の地下化や晴海の選手村跡地について説明。タワーマンションの増加による保育園や学校の不足、空室率の上昇などを指摘し、建物の高さを56メートルに抑える「銀座ルール」のような規制の仕組みが必要だと語りました。
品川区の安藤たい作区議は武蔵小山の再開発をめぐる住民の反対運動を示し、「都市計画審議会に向けた都市計画案には、379人の意見書が提出された。反対意見が8割に上ったにもかかわらず、区は都市計画決定を強行した。不安や反対の声が多数上がる状況での決定というのは、民主主義の破壊そのもの」と憤りました。
北区ののの山けん区議は、赤羽駅前の飲み屋街を守ろうと声を上げる住民運動の一つとして、若者たちによる生成AIを使った魅力ある街を描き出すプロジェクト立ち上げを紹介。世田谷区の中里光夫区議は、住民が主体的に参加するまちづくりの重要性を、下北沢再開発を例に話しました。
東京民報2024年2月4日号より