羽田空港 機能強化は経済界第一 藤田都議 事故の全面検証求める〈2024年3月31日号〉

 都の2024年度予算案を小池百合子知事の出席のもとで審議する予算特別委員会の2日目、13日は日本共産党からこの日2人目となる福手ゆう子都議が、14日は藤田りょうこ都議が質疑に立ちました。

質疑に立つ藤田都議=14日、都議会

 14日の予算特別委員会では10人が質疑。日本共産党の藤田都議は、羽田空港で1月2日に起きた航空機同士の衝突事故を受けて、事故の原因究明と再発防止についてただしました。

 藤田都議は事故原因として否定できない「羽田空港の過密化」を招いたのは、羽田新ルートの導入をはじめとした「空港の機能強化」にあると指摘。「新ルート導入を歓迎してきた責任において、都としても安全対策について深く考える必要がある」と強調しました。

 谷崎馨一都市整備局長は「羽田空港の運用は、国の責任と判断で行われている」「航空会社に安全対策の徹底を指導するよう(国に)要請している」とのべ、都としての安全対策は示しませんでした。

 藤田都議は2012年から都が2億4000万円をかけて羽田空港の機能強化を調査してきた内容について、「機能強化の効果やメリットなどの調査しかしておらず、デメリットや安全性に関わる調査は見当たらない」と告発。「国際競争力のもと、羽田空港の機能強化ありきで突き進み、事故が起きたもとでもまともな対策を求めない姿勢は、経済界ファーストそのものだ」と批判しました。

 その上で、羽田空港の機能強化は立ち止まり、問題点を全面的に検証すべきだと主張。あわせて、騒音被害や落下物の危険など、住民から強い批判があがる羽田新ルートの中止を求めました。

 藤田氏はまた、大田区の東急蒲田駅―京急蒲田駅間を結ぶ鉄道「蒲蒲線」計画について、800メートルの区間に第1期工事で1360億円、1メートルあたり1.7億円も投じながら、両線の線路幅が異なるために羽田空港にはつながらず、フラットだった乗り換え通路に段差が生まれ、乗り換えも不便になると告発しました。

 谷崎都市整備局長が事業の意義について「羽田空港へのアクセス利便性の向上」を挙げたことに、藤田都議は「羽田空港の機能強化と同様、国際競争力強化が目的だ」と指摘。「『経済界ファースト』の計画は中止すべきだ」と迫りました。

独法化で休止床増 都立病院は直営に

 藤田都議は、都立・公社病院を独立行政法人化して1年半で病棟の休止が増えている事実を示し、「人件費の抑制や病床削減、病院の統廃合や縮小は断じて許されない。職員を大幅に増やし、都民の命に責任を持つため、都直営に戻すべきだ」と迫りました。

 雲田孝司・保健医療局長は「3月時点で都立14病院の休止病棟は、工事を除き19病棟629床」だと明らかにしました。藤田都議は昨年9月時点の16病棟540床から拡大したと指摘(表)。理由をただしたのに対し、雲田局長は「現在の職員体制に応じた病床運用や患者動向」と答弁しました。

 藤田都議は「まるで患者のニーズがないかのような答弁だ」と批判。病棟の再開予定もないとする姿勢に、「独法化の効果とは何なのか。都民の医療に責任を持つ姿勢とは言えない」と述べました。

 藤田都議はまた、都立小児総合医療センターの児童・思春期精神科で、新規外来患者数が2010年の開設時から半減していると指摘。「病院統廃合から15年経ち、医療が必要な子どもが増えているのに、入院も外来も規模が縮小している。2つの病棟60床が2年近くも閉鎖されたままだ。独法化をバラ色に描き、強行したことは極めて重大だ」と厳しく指摘しました。

東京民報2024年3月31日号より

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