噴霧乾燥機メーカー大川原化工機(横浜市)をめぐるえん罪事件で、国と都に1億6200万円の損害賠償の支払いを命じた国家賠償請求訴訟の東京地裁判決(昨年12月)を不服として、小池百合子知事が議会に諮らずに専決処分で控訴した問題で、日本共産党都議団の大山とも子団長は3月28日、談話を発表。控訴を取り下げ第三者機関による徹底検証を行うよう求めました。
この事件は、軍事転用可能な機器を無許可で輸出したとして「大川原化工機」の大川原正明社長ら3人が、外国為替及び外国貿易法違反の容疑で逮捕、起訴され、後に起訴が取り消されました。社長らが捜査の違法性を訴えた訴訟で東京地裁は12月27日、起訴や逮捕の違法性を認め、国と都に賠償を命ずる判決を出しました。国や都は不服として控訴しました。
先の都議会定例会で小池知事の専決処分について、自民党、都民ファーストの会、公明党などの賛成多数で承認。日本共産党、ミライ会議、生活者ネット、「グリーンな東京」、東京維新の会は反対しました。
談話は、判決が警視庁公安部による逮捕、取り調べ、検察官による勾留、公訴提起を違法と認定したと指摘。事件は社会的関心を集め、警視庁や検察への厳しい批判が広がる中、小池知事が控訴を議会に諮らず専決処分したと批判しました。
控訴した専決処分の承認を議会に求めたにも関わらず、小池知事は審査に不可欠な「控訴理由書」すら提出しなかったことに「議会軽視とともに、えん罪の温床の一つである根深い隠蔽体質が改めて浮き彫りになった」と述べています。
その上で、警視庁が都議会の質疑でえん罪と認めなかったことや、逮捕され11カ月間拘束された大川原社長が「罪を認めないと(外に)出さない人質司法だ」と話していたこと、現役捜査員が裁判で「ねつ造ですね」と証言しただけでなく「(捜査が)おかしい」と思っていた捜査員による内部告発があったことをあげ、再発防止には控訴を取り下げ、捜査の問題点を第三者機関で検証し、都民に明らかにすることが不可避だと強調。知事の責任で速やかに着手するよう求めています。
東京民報2024年4月14日号より