共闘で金権の根を断とう 東京15区補選28日投票〈2024年4月21日号〉

 「裏金事件」で自民党への批判と怒りが大きく広がるなか、公職選挙法違反事件で有罪が確定した柿沢未途元衆院議員=自民党を離党=の辞職に伴う衆院東京15区補選(江東区、28日投開票)が16日告示され、新人で市民と野党の共闘候補、酒井なつみ氏(37)=立憲民主党=が立候補しました。長崎3区、島根1区の補選と同時で結果は今後の政局に大きな影響を与えます。

訴えたあと聴衆の激励にガッツポーズで応える(左から)宇都宮、櫛渕、福島、酒井、田村、蓮舫の各氏と、司会の吉田はるみ衆院議員=16日、江東区

酒井なつみ候補が訴え

 告示された16日、「市民と野党をつなぐ江東市民連合」主催による街頭演説が地下鉄・東陽町駅前で行われ、酒井候補とともに市民連合の宇都宮健児共同代表、日本共産党の田村智子委員長・参院議員、立憲民主党の蓮舫参院議員、社民党の福島瑞穂党首・参院議員、櫛渕万里衆院議員らが立ちました。

 宇都宮氏は「酒井候補の勝利で汚職が続く江東区に決別し、都政と日本の政治を変える出発点に」、福島党首は「みんなの力で必ず当選を」、蓮舫氏は「自民党には国民の大変な暮らし、不安が分かっていない。一人でも多くの野党議員が必要だ」と訴えました。

 田村委員長は「市民と野党の共闘の力で酒井候補を勝利させ、自民党の金権・腐敗政治の根を断とう」と呼びかけました。

 酒井候補は「利権やカネで動く政治から国民の声に寄り添うまっとうな政治を実現します」と表明し、大きな拍手と声援を受けました。

 補選には、自民党は候補者を擁立できませんでしたが、小池百合子都知事が主導して擁立した「ファーストの会」推薦の乙武洋匡氏(48)=同会副代表=への相乗りを模索していました。他に日本維新の会の新人金沢結衣氏(33)、参政党の新人吉川里奈氏(36)、政治団体「日本保守党」の新人飯山陽氏(48)、元自民衆院議員の秋元司氏(52)、元格闘家で参院議員の須藤元気氏(46)ら9人が立候補し、大激戦です。

キックオフ集会 自民政治と決別を

 「市民と政治をつなぐ江東市民連合」は11日、区内でキックオフ集会を開きました。駆けつけた80人以上の市民が見守る中、宇都宮健児共同代表と立憲民主党公認候補の酒井なつみ元江東区議(37)とが「確認書」を交わしました。候補者一本化のために立候補を取り下げた日本共産党の小堤東・江東地区委員長も出席し、拍手を送りました。

 酒井氏は昨年12月の江東区長選で市民と野党の共同候補としてたたかい惜敗。立憲民主党の手塚仁雄都連幹事長が、酒井氏の擁立会見で「江東区長選でも共闘した経緯がある。一緒にたたかえたらという思いだ」と表明したことを受けて、共産党は候補者一本化のために小堤氏(34)の立候補取り下げを決め、酒井氏の支援を表明しました。

 確認書は自民党の裏金問題や15区で相次ぐ「政治とカネ」を巡る不祥事を念頭に、「カネで動く自民党の古い政治ときっぱり決別し、国民の声で動く新しい政治を実現」「企業・団体の政治献金は禁止」を第1に掲げています。

 また昨年12月に「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」が示した、「共通政策項目」の実現に向けて「力を合わせる」と明記。▽憲法も国民生活も無視する軍拡は許さない▽市民の生活を守る経済政策を行う▽ジェンダー平等・人権保障を実現する▽気候変動対策を強化し、エネルギー転換を推進▽立憲主義に基づく公正で開かれた政治▽江東区などが想定されるIRカジノ誘致に反対する―などとしています。

 宇都宮氏は「候補が一本化されて、たたかう体制ができた。全国的に注目される補選。行方によっては岸田文雄政権そのものが断罪される。7月の都知事選、都議補選、近いうちに行われる総選挙の前哨戦になる。勝ち抜くことで、その後の選挙に大きな影響を与える」と強調しました。

 酒井氏は「江東区では衆院議員や区議が政治とカネの問題で逮捕、起訴され、政治不信が募っている。区議として働いて、『社会課題に気づいたからには変えられるまで頑張る』という姿勢できた。今の政治に欠けているのは、国民の声を聞いて動く誠実さとまっとうさ。与党が変わらないなら倒すしかない。そのためにはみなさんの力が必要です。輪を広げて闘い抜き勝利したい」と訴えました。

 小堤氏があいさつ。「酒井さんに一本化して何としても勝ち抜こうと候補をおりる決断をしました。岸田政権に事実上、とどめを刺す選挙です。市民と野党の共闘を再構築し、総選挙に向けてさらに発展させていきたい」と表明。「江東区では5年間で7人の自民党政治家が逮捕・起訴されている。悪いことをしても自民党が選挙で勝ってしまうということを、もう終わりにしよう」と呼びかけました。

 来賓として革新都政をつくる会の中山伸事務局長、新社会党の水摩雪絵都本部書記長があいさつ。会場の参加者も発言しました。最後に短期決戦に勝ち抜く具体的な行動提起がありました。

キックオフ集会に参加した(右から)小堤、宇都宮、酒井の各氏=11日、江東区

東京民報2024年4月21日号より

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