労働者の声に向き合え 争議解決求め支援総行動〈2024年6月9日・16日合併号〉
- 2024/6/11
- 労働・市民
「災害拠点病院である厚生荘病院(多摩市)に湖山医療福祉グループが参入し、一方的に閉院し希望退職に応じない10人の労働者を解雇。約束していた診療所の開設も取り消し、多摩市和田地域は医療空白地域になってしまった。本当に困っています」―地域住民の声が銀座の街に響き、外国人観光客も思わず足を止めて撮影していました。全国労働組合総連合(全労連)と東京地方労働組合評議会(東京地評)は5月30日、争議支援総行動を実施し、3コースに分かれ労働争議の相手先16事業所の本社前で宣伝行動を展開しました。
中央区西銀座の湖山医療福祉グループ前には東京都労働委員会(都労委)における不当労働行為の救済と未払い賃金請求など東京地裁での4つの裁判の早期解決を求めて、同病院の労働組合員と支援者らが集まり次々と声を上げました。
同病院労働組合の吉田ちよ委員長はマイクを握り、「病院に同グループが経営参加して以来、次々と問題が起きました。派遣してきた常務理事は横領事件で解任。事務局長によるセクハラ、パワハラ不正経理が横行しましたが、懲戒処分もなく自主退職で終わらせた」と批判。「一方的な就業規則変更や人事評価制度の導入が行われ、定期昇給廃止も一方的に強行されました。さらに突然閉院し、継続雇用を求める組合員に解雇通知を送り付けて団体交渉にも応じないのはおかしい」と抗議し、同グループの湖山泰成理事長に話し合いの場につくことを求めました。
モノ言う社員 解雇するな
日本航空本社(品川区)前には朝から「不当に解雇したまま13年、争議の全面解決を」と、JAL争議を引き続きたたかう日本航空被解雇者労働組合(JHU)のメンバーら、多くの労働者が埋め尽くしました。
当事者や支援者らが、JALに起きている重大インシデントや今年1月の事故を挙げ、「争議の解決なくして安全なし。安全のために会社にモノを言う社員を解雇することはあってはならない」と強調。一日も早い解決を求めシュプレヒコールをあげました。
午前中の統一行動は日本IBM(中央区)前に、3コースの参加者が集結。5次ストライキを決行する日本金属製造情報通信労働組合(JMITU)アイビーエム支部を激励しました。
中央労働委員会(中労委)でたたかわれている「新卒社員より安い賃金でベテラン社員を酷使する」ジョブ型再雇用不当労働行為、同賃金差別裁判、都労委に救済を求めているAI不当労働行為などに誠意ある対応を要求し、声を合わせて訴えました。
東京国税局(中央区)の前では、全国税労働組合と支援者が、同局を不当に分限免職(解雇)された原口朋弥さんを職場に戻すよう訴えました。
原口さんは、争議の開始から2年半が経ち、人事院の審査終了から約1年が過ぎ判定を待つなかで、「1万1千人の個人署名、800の団体署名が寄せられた」と感謝を表明。東京国税局でのハラスメント被害をめぐる最近の報道の例も紹介しながら、「国税の職場から、ハラスメントや障害者差別、不当な人事評価をなくすためのたたかいだ」と決意を語りました。
クライマックスは東京電力前に全参加者が集まりました。東電グループのワットライン社で電気メーターの交換作業に長年従事してきた労働者を、「個人請負だから」として労働者として認めないばかりか、都労委、中労委の命令を無視して団体交渉にも応じない姿勢を批判。組合員を差別して雇止めを行っている姿勢を改めるように参加者全員で抗議の声をあげました。
東京民報2024年6月9日・16日合併号より