【都議選2025*希望の都政に】福祉の心で優しい東京に 江戸川区(定数5)原純子(60)〈2025年2月2日号〉

 初当選後、都民の思いに応えようと無我夢中で取り組んできました。都民の声を聞いたり、切実な相談を受ける中で使える制度がない、制度があっても対象者が限られているなど、支援が必要な人のところに届いていないことを知り、もっと都民に寄り添う都政が必要だと悔しい思いをすることも多い3年半でした。

【原純子都議の略歴】1964年8月東京都生まれ。日本福祉大学卒。2016年田村智子参院議員(現衆院議員・共産党委員長)秘書。21年都議選で初当選、現在1期目。趣味はスキー、書道、押し花、アルパ(ラテンハープ)。社会福祉士・保育士

 私は都内の放課後デイサービスなど福祉の職場で25年間、保育士・社会福祉士として発達障害のある子どもたちの育ちの支援をしてきました。周りの不理解に苦しんだり、自分の言いたいことがうまく伝えられない子もいます。子どもたちと保護者の思いを受け止める仕事でしたが、その分、子どもの成長の喜びは2倍にも3倍にもなりました。

 障害のある子どもたちを普通に受け入れる社会であってほしい、政治がなすべきことだと強く思いはじめていた時に、2014年の衆院選の立候補要請があり、政治の道を歩み出しました。「福祉を真ん中にした社会にしたい」の原点は、その時から今都議になっても変わっていません。

葛西の自然大事に

 江戸川区は農地があり、野菜作りや花卉(かき)栽培が盛んです。荒川、江戸川などの河川に囲まれ、南の葛西臨海公園、海浜公園は、東京湾が広がります。その公園に隣接したカヌースラロームセンターは、東京五輪の会場にもなりました。区内にはカヌーの体験場もあり、私もやってみましたが楽しかったですよ。

 葛西海浜公園では渡り鳥の観察もできます。川から海へ遊覧する屋形船もあります。手描き友禅の染め絵や江戸切子(ガラス工芸)などの伝統工芸や先端技術の町工場もあり、そうした江戸川の自然や文化、産業を大事にしたいです。

 いま小池百合子都政のもとで、葛西の自然を壊す深刻な問題が起きています。その一つが都立葛西臨海水族園の建て替え問題です。住民説明会も開かれずに進められ、敷地内での新施設建設計画が1400本の樹林帯を撤去(600本伐採、800本移植)し、ビオトープが解体されることに驚きと怒りが広がりました。地域の環境再生のシンボルで区民からも愛されているガラスドーム(現施設)の存続も危ぶまれました。

 ガラスドームと樹林を守る運動に立ち上がった住民や専門家の方々と現地に20回以上通い、議会でも14回質問しました。そしてついに都はガラスドームの保存・活用を決めました。

環境守るルールを

 都議会では環境・建設委員会に所属し、都の大規模開発と向き合ってきました。都内では10年間で170棟もの再開発ビルが建設され、エネルギー消費量とCO2(二酸化炭素)排出を増やし続けています。

 都心の貴重な樹木を大量に伐採する神宮外苑再開発や日比谷公園の大改造計画のほかにも、4800本の樹木がある昭島市・昭和の森ゴルフ場への巨大な物流倉庫とデータセンター建設計画、杉並区の善福寺川上流の調節池・トンネル建設計画ではプラタナスの樹林が根こそぎ奪われます。

 気候危機対策に逆行し、ヒートアイランド現象を悪化させるもので、どこでも住民の大きな反対運動が起きています。住民の意見を聞かずに、町再編や環境破壊を強行することは許されません。

 本来、開発計画をチェックし環境を守るはずの東京都の環境アセスメントが、十分機能していないことが明らかになりました。環境への影響評価と計画の見直しという本来の機能が果たせるように条例改正を含めて、改善する必要があります。

 昨年12月に行った小池知事への新年度予算編成への提案では、住民参加のまちづくりや樹木保全条例の制定、開発を規制するルールづくりなど、共産党都議団の環境政策提案の補足説明を私が行いました。来年度予算に取り入れるよう求めていきます。

ふるさと東京に

 東部低地帯の江戸川区にとって防災、とりわけ水害と震災対策は大事なテーマです。2019年の台風で3万5000人の区民が避難した経験を、今後の防災対策にどう生かすかが問われています。豪雨時対策、老老介護の方や障害者がいる家庭など要支援者の避難対策を議会で求めました。当時避難所として使えなかった都立高校など都立施設を避難先に追加できたのは一歩前進です。

 気候危機対策も防災も「誰も取り残さない」という点で、私が大事にしてきた「権利としての福祉」とつながっています。「財界ファースト」の「稼ぐ東京」ではなく、誰もが“ふるさと”と言える優しい東京を実現するために、これからも頑張ります。

東京民報2025年2月2日号より

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