都議会は11、12両日、本会議を開き、小池百合子知事の所信表明に対する代表質問(11日)と一般質問(12日)を行いました。
日本共産党は代表質問に里吉ゆみ都議(世田谷区)が立ちました。築地市場跡地(中央区)を民間主導で国際会議場・展示場などに再開発する都の方針について、「都民の意見を受け止めようという姿勢は見られない」と批判し、「築地市場の歴史をしっかり引き継ぎ、都民と市場関係者、場外市場のみなさんから歓迎されるまちづくりを進める必要がある」と訴えました。
築地市場跡地の再開発方針の策定にあたって都は、素案へのパブリックコメントを実施。202件の意見が寄せられ、そのうち70件以上は「築地を守る」「市場機能は確保する」としていた知事の公約違反を指摘するものや、築地での市場整備を求めるものでした。
里吉都議は2017年6月の「築地は守る」という小池知事の約束が、今年3月の再開発方針で消えたのに、知事が方針転換を認めないことを批判。「(公募した)これらの声をどう受け止めたのか」とただしました。小池知事は公募意見について「資料とともに局から詳しく報告を受けている」と述べただけでした。
里吉都議はまた、豊洲市場(江東区)で業者が貨物用エレベーターの扉に衝突して死亡した事故について、原因は上下に開閉するエレベーター扉の危険な構造にあると指摘。市場関係者や専門家を交えた抜本的な再発防止策の検討、実施を求めました。
五輪選手村 売却の再協議を
里吉都議は人間の尊厳に重きを置く社会を目指す「オリンピック憲章」に沿って、東京五輪・パラリンピックを「貧困の打開、不平等の是正、雇用・労働環境改善などの『持続可能な開発目標』(国連SDGs)の実現への跳躍台として成功させることは重要な課題だ」と強調。ところが都、組織委員会、政府の対応には重大な問題があるとし、その一例として選手村の問題をあげました。
都は選手村敷地(約13・4㌶)を不動産会社11社に129億6000万円と、周辺公示地価の10分の1で売却。選手村として利用後、分譲マンション4145戸は6000万~1億円以上で販売する計画です。
里吉都議は「大多数の都民には手が出ない一方、都営住宅や低家賃・低価格の住宅は造らない。安価な住宅の確保を掲げるSDGsとかけ離れている」と批判しました。
その上で、都と事業者との敷地譲渡契約で、当初の資金計画から著しい収益増が明らかになった場合、「敷地譲渡契約金額を別途協議する」としていると指摘。共産党都議団が情報公開請求で入手した文書で、都が想定した分譲価格が1平方㍍74万~77万円だったことを示し、「現在の分譲価格は1平方㍍90万円で、デベロッパーは300億円超の収益増が想定される」とのべ、売却価格の再協議を求めました。
佐藤伸朗都技監は「全住戸引き渡し完了で確定した収益が、分譲予定収入から1%以上増収の場合、事業者と協議していくとしている」と答えました。
高齢者の事故対策
高齢ドライバーによる相次ぐ重大な交通事故。里吉都議は「大事なことは、高齢者をはじめ都民の誰もが車を運転しなくても、買い物、通院、趣味、サークルなどのために、安全で便利に移動できるようにすることだ」と強調。70歳以上が利用できるシルバーパスの改善やコミュニティバスへの都による財政支援強化など交通不便地域への移動支援対策、警視庁の運転免許本部にある各相談窓口の拡充などを提案。
また、保育園の園外活動の安全確保策として、警視庁や区市町村と連携した緊急点検結果を踏まえた安全対策や引率する保育士を増やせるよう配置基準の改善、園庭の整備など抜本的対策を求めました。
小池知事は高齢ドライバーの事故対策について、新たに設置した緊急プロジェクトチームで「実効性のある対策を包括的に検討していく」としました。
里吉都議が他に質問した主な項目は以下の通りです▽五輪施設建設現場の労働環境▽羽田空港新ルート▽横田基地軍民共用化▽新たな長期計画▽私立高校の負担軽減▽待機児童対策▽児童虐待防止▽引きこもり支援▽教員の働き方改革▽気候変動対策▽インフラ整備―など。
(東京民報2019年6月23日号に掲載)