金融庁の審議会がまとめた「老後の資金は年金だけでは2千万円足りない」とする報告書が大きな怒りを呼んでいます。インターネットで16日に呼びかけられた「年金返せデモ」には2千人(主催者発表)が参加。「生活できる年金払え」と抗議の声をあげました。
集合場所の日比谷公園には、集合時間前から続々と、「年金払え」「2千万円とか絶対ムリ」などと書いた手作りのプラカードを持った市民が集まりました。子ども連れや、若者、働く世代の参加者が目立ちました。
国立市在住の小学校教員の女性(44)は、知り合いとともに参加。「2千万円の貯金なんて、あり得ない。税金をつかさどっている麻生さん(太郎・財務相)が、大金持ちで、庶民のお金の感覚が分からないから、こうなる。若い人たちの将来の見通しが立たないことが、許せない」と憤ります。
参加者は、銀座までデモ行進。ドラムに合わせて「生活できる年金払え」「暮らしを守る年金払え」と声をあげました。
「話が違うだろ」「報告書を無視するな、何とかしろ」と手書きしたプラカードを掲げながら、歩き終えた女性(中央区・46歳)は「もともと年金をそんなに多くもらえるとは思っていません。でも、毎月、着実に給料から天引きされている。裏切られた怒りが一杯で参加しました」と話しました。
抗議の声明相次ぐ
報告書に各分野の団体からの抗議の声明も相次いでいます。都内5700人の医師でつくる東京保険医協会は10日、政策調査部長名で、「社会保障である公的年金を削減し、貧困を放置しながら、国民に投資で資産形成する『自助』を強要するのは憲法違反と断じざるを得ない」と声明。全日本年金者組合は中央執行委員長が12日、「年金制度問題の抜本的解決には、『マクロ経済スライド』の廃止、『最低保障年金制度』の確立こそが必要」と抗議する声明を出しました。
(東京民報2019年6月23日号に掲載)