小池知事 感染防止を政治利用か 人命より五輪優先の疑惑も〈7月12日号より〉

 連日100人を超える新型コロナウイルスの新たな感染者数が発表されるなか、小池百合子知事の感染防止の対応が政治的な思惑を優先しているのではないかとの疑惑が選挙の最中にも続出しています。東京オリンピック・パラリンピックの1年延期をめぐっての疑惑も、その一つです。

 「コロナ対策は早期発見、早期治療が有効なのに、それを1カ月以上も怠ってきた。五輪開催という政治的思惑を、都民の命より優先させた責任は重い」。こう指摘するのは、日本共産党都委員会の新型コロナ対策委員長で医師でもある谷川智行氏です。

宇都宮氏が公開質問状

 その根拠とするのが、3月24日の東京五輪の延期決定まで、都に寄せられている相談が急増していたのに、PCR検査数は多くて数十件で推移していたこと。小池知事は、延期決定までほとんど新型コロナ感染問題で発言してきませんでしたが、延期決定の翌25日に「感染爆発重大局面」と記者会見で発表し、ほぼ同時にPCR検査数も不十分とはいえ増え始めました(グラフ参照)。

五輪延期が決まってから急増する検査数(共産党都議団作成のグラフ)

 この問題を巡って都知事選で宇都宮けんじ陣営が、小池知事に公開質問状を突きつけました。

 質問状では、こうした事実を示した上で「オリンピック開催の支障となるため、感染者数を低く抑えるために、検査件数を押さえていたのではありませんか」と説明を求めました。

日本医師会も事例を発表

 小池知事からの回答は、「3月上旬からは、PCR検査が保険適用となり、新型コロナ外来を設置する医療機関等でも民間検査機関を利用して検査を行うことが可能となり、都内の検査処理能力は拡大した」というもの。しかし、グラフを見ての通り、オリンピックの延期判断の時の前後でグラフに大きな落差が生じており、説明になっていません。

 小池知事はPCR検査体制の不十分さが問題になっているのに、都議会で「必要な検査が行われている」と答弁してきました。しかし現実は保健所に検査を申し込んだ医療機関が「中等症以上の肺炎のある患者か濃厚接触者・海外渡航歴がある人以外は検査できない」と保健所から断られる事例が続出。死後に陽性と判明した事例もありました。

 日本医師会も医師が必要と判断していたにもかかわらず、検査につながらなかった「不適切事例」が全国で少なくとも290例あったと発表しています(20年3月18日)。その中には東京の事例も36例含まれています。

 谷川氏は「PCR検査を早期に増やせば救えた命があったし、感染拡大のために経済と暮らしへの甚大な影響は避けられたのではないか」と、小池知事の姿勢に疑問を投げかけています。

 2期目に臨む小池知事は、これらの疑問にしっかりと答える責任があります。

都の新指標 科学的判断基準を放棄 共産党都議団が談話

東京都は6月30日、新型コロナウイルスの感染状況を評価(モニタリング)するための「新しい指標を発表。「新規陽性者」「重症患者数」など7項目の推移を毎日把握し、「専門家チーム」の分析結果をもとに都の対応を決定します。

 これまでのような1日の陽性者数20人以上で「東京アラート」発動など、都民に警戒を呼びかける目安の数値はなくしました。小池知事は「ひとつの数字ではなく、現場の感覚なども含めて判断をすべき」と説明しています。ところが「専門家チーム」の会議も、都として専門家チームの分析を評価する「モニタリング会議」も非公開で、都民は決定経過について知ることはできません。

 この「新指標」について日本共産党都議団の和泉なおみ幹事長は1日、「科学的判断の基準を放棄したもの」との談話を発表。自衛・自己責任を求める姿勢に終始し、都として検査の充実や医療体制確保にどう取り組むのか、具体的内容は示していないと、批判しています。

共産党都議団 検査の抜本拡大を

 共産党都議団の和泉幹事長は談話で、経済・社会活動と感染拡大防止の両立には「検査対象者を都独自に思い切って広げ、検査数を抜本的に引き上げることが必要」とし、PCR検査と抗原検査を合わせて10日間で30万人ぐらいはできると提案しています。

(東京民報2020年7月12日号より)

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