【街角の小さな旅③】岡本太郎記念館と青山界隈〈11月1日号より〉

独自の芸術世界観るものに問いかけ

岡本太郎記念館の入り口

 おしゃれな街・青山。その青山で岡本太郎に出会いました。

 岡本太郎は戦前、世界の芸術活動の中心であったフランスに渡り、創作に励むとともに美学、哲学、民族学を学んだ世界的な芸術家。

 いうまでもなく芸術は創造である。とすれば過去の権威を破砕することによって飛躍的に弁証法的に発展すべきものである。   (青春ピカソ)

 岡本太郎はパリで、パブロ・ピカソの作品に出会い衝撃をうけ、「ピカソを超える」ことを終生の課題としました。そして、当時のパリ画壇を席巻していた抽象芸術とシュールリアリズム運動にくわわるとともに、フランスの現代思想家・ジョルジュ・バタイユにも影響をうけ、独自の芸術世界をつくりあげました。

 岡本太郎の作品は、絵画、彫刻・造形オブジェクトを問わず、過去のいずれの芸術作品・芸術活動も乗り越えた「新しい世界」を提示。観る者に衝撃をあたえます。その岡本太郎は芸術は創作者だけでなく観る者によっても創られると考えていました。

うっそうとした茂みの、岡本太郎記念館の庭

 表参道駅からみゆき通りを下った岡本太郎記念館は岡本の住居、アトリエであった建物のうち書斎と彫刻アトリエを展示場に建て替えたもので、館内は数歩も歩けばすべてが見渡せる広さ。所狭しと作品がそれこそ無造作に並べてあります。

 絵画アトリエであった吹抜けの部屋は、創作をしていた当時そのままにテーブルや絵の具、キャンパスが残され、顔や手のオブジェクトが、私たちが創らねばならないものを問いかけてきます。

 庭にでると、芭蕉やシダ類などが自然のままに生い茂ったなかにプリミティブ(原始的)な世界を連想させる造形物がこれも無造作に置かれていて、そのうっそうとした茂みのなかから、あの眼をぎょろつかせた岡本太郎がぬーツと出てくるかのようです。岡本太郎の小宇宙・岡本太郎の世界がそこにありました。

 岡本太郎は芸術は「社会の生産様式と深い関係がある」ことを洞察。「日本は開国以来、西洋の機械文明をいちはやく輸入して資本主義をおこし、軍隊をつくり、それによって世界の強国の一つになりました。しかし、その西洋科学の裏にあって、それをささえている合理主義やヒューマニズム、自由の精神は、べつに利用価値がないと思ったのか、そっちのけにしてしまいました」(今日の芸術)と告発した希有の思想家でもありました。

巨大壁画「明日の神話」

 世界芸術の最前衛としての日本美術の創造こそが、岡本太郎生涯の念願であった。   宗左近

 渋谷駅の井の頭線につながるコンコースに巨大壁画「明日の神話」が展示されています。この作品はアメリカの水爆実験で被曝した第5福竜丸をモチーフに、水爆の炸裂する瞬間を描いたものです。核兵器に焼かれる人間とともに原爆がもたらす惨劇を乗り越え平安な世界に憩う人々が描かれています。「原爆という事実は日本人全てが引き継がなければならない問題だ」(岡本太郎)と語りかけてきます

表参道・みゆき通り

表参道の街並み

 青山を歩いてみましょう。表参道駅に向かうみゆき通りは槐(えんじゅ)の並木道。道の両側には世界に知られたブティックが並び特色のある建物の外観を競っています。

 青山通りをわたった表参道の広い歩道はけやき並木。こちらは映像にもよく登場するファッションストリート。ウィンドウショッピング、洒落たカフェやレストランが楽しめます。その横道で子どもの絵本と木のおもちゃの専門店やオルゴールの専門店に出会うことができました。

根津美術館

 岡本太郎記念館のすぐそばに根津美術館があります。尾形光琳の燕子花図(国宝)など日本伝統の絵画や中国の仏像など国宝や重要文化財を多く収蔵しており、傾斜地に広がる日本庭園には、池があり茶室や灯籠、石像などが置かれていて、小鳥のさえずりが都心にいることをしばし忘れさせてくれます。(要予約・特別展「根津美術館の国宝・重要文化財」11月14日~)

(東京民報2020年11月1日号より)

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