首都決戦として各党が激しい選挙戦を繰り広げる東京都議選が、7カ月後に迫っています。日本共産党都議団は2013年、17年の都議選で連続で議席を伸ばし、暮らしを応援する都政実現のために奮闘してきました。日本共産党都委員会の田辺良彦委員長に、同都議団が果たしてきた役割と、都議選をどうたたかうか、聞きました。
―共産党は過去2回の都議選で躍進しました。
2013年の都議選で8議席から17議席に躍進し、17年都議選で連続躍進して、現在は18人の都議団です。これは、国会(衆院+参院)に換算すると100議席に相当する勢力です。
都政では、石原慎太郎都知事以来、都民の暮らしのための政策を敵視しながら、大型開発に湯水のようにお金を注ぎ込む、自民党型の都政が続いてきました。小池都政も、誕生直後は「反自民」の改革ポーズを取りましたが、2017年に国政進出に失敗してからは自民党にすり寄り始めました。
都議団が都議選で連続躍進するなかで、こうした自民党型都政にはばまれていた都民の願いが、実現に向けて動き始めています。
典型的なのは、認可保育園の増設です。13年の都議選で躍進したことで共産党都議団が条例提案権を得て、最初に提案したのが、認可保育園をつくるための土地代補助の条例案でした。その後も繰り返し、認可保育園増設を求めてきました。
認可保育園の施設数や定員数を見ると、石原都政の時代から、ほとんど増えていなかったのが、都議団が躍進した2013年以降、一気に増えています(グラフ)。

連続躍進で都政動かす
―他の分野でも都政に変化を生んでいます。
学校体育館のエアコンもそうです。2018年の夏、「災害級」といわれた酷暑となり、都議団はいち早く都知事に緊急申し入れを行いました。公立小中学校体育館などのエアコン設置に都が補助する条例も提案し、知事から冷房化を進めるという答弁を引き出しました。体育館の空調導入率は小中学校51・2%、都立高25・9%まで高まっています。
コロナ危機では、都内の保健所が1994年の71カ所から31カ所まで減らされたもと、業務がパンク状態になりました。
自民党、公明党が推進した保健所削減の弊害は明らかなのに、小池知事は都の保健所削減について「機能強化を図った」と正当化を続けてきました。都内各地の運動、都議団の論戦を通じて、この分野でも、小池知事が保健所の重要性を認め、今後のあり方を検討すると答弁するところまで変化が起きています。
活動範囲が幅広く
―コロナ禍のもとで政治を問い直す声が広がっています。
自己責任押しつけや、大企業の目先の利益拡大を最優先にする政治が、都政もゆがめてきました。
9月に小池知事が2期目の最初の所信表明で掲げたのが「稼ぐ東京」です。そのもとで、都立・公社病院を民間に近い経営形態とする独立行政法人化や、羽田空港の都心低空飛行ルート推進、カジノ誘致、外環道地下トンネル工事など東京を大企業のもうけの場とする政策が、都民の生活を脅かしています。

外環道工事現場の真上で陥没事故が起きましたが、その直後の都議会委員会でも、都民ファ、自民党、公明党など外環道推進の議員は、「必要な道路」「工事再開を」と発言しました。都政のあり方を変えるには、転換を求めて対決してきた日本共産党都議団が伸びることが不可欠です。
同時に、都議団が18人になったことで、扱えるテーマと、活動の幅が大きく広がっています。
不当に生徒を締め付ける「ブラック校則」の問題を繰り返し質問し、なかでもツーブロックという髪型を禁止する校則を取り上げた質問は、大きな反響を呼びました。虐待などで居場所がない女性への支援も、都議会で初めて取り上げるなど、人権やジェンダー平等(社会的性差別解消)の問題にも力を入れてきました。共産党の都議が増えれば、各分野でもっと大きな仕事ができます。
連合政権の流れ都議選で
―都議選をどうたたかいますか。
コロナ禍で、政治のあり方が鋭く問われるなかでの選挙です。自己責任第一の政治から抜け出し、小池知事のいう「稼ぐ東京」を「都民を支える東京」に変えなくてはいけません。
総選挙がどの時期になるにしても、都議選も、国政と連動した政党選択が重要な要素になるのは間違いありません。
7月の都知事選では、4つの都議補選で野党が共同しました。来年の都議選で共闘をどう発展させるか、各党と真剣な話し合いを続けています。
自民党、公明党に審判を下し、都政を変えるとともに、野党連合政権の実現へ、大きな流れをつくり出す、そういう都議選にするよう全力でたたかいます。
(東京民報2020年11月15日号より)