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都立病院・外環道 都民守る姿勢で違い鮮明 都議会 決算審議にみる〈2020年11月29日号より〉
- 2020/11/23
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東京都議会で東京都の2019年度決算の全局通しての審議が11月11、13両日、小池百合子知事の出席のもとで行われました。決算審議は予算が適正に執行されたかどうかをただす場ですが、一問一答形式で小池知事に質問できる機会は数少ないだけに、小池都政の問題点とともに、都民生活に直結する重要課題に対する各党の姿勢も浮き彫りになりました。
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この間、都民の命と暮らしに直結する都政の重大問題の一つとして、決算審議で急浮上したのが、調布市の住宅街で陥没事故(10月11日)が起きた東京外かく環状道路(東京外環道)の建設問題。トンネル工事のルート真上で、道路の陥没、大きな地下空洞の発覚が相次ぎ、住民の不安は極限に達しています。
もともと1㍍1億円とも言われる巨額の税金を投入して建設が進められる外環道建設は、「税金の無駄遣いだ」「街や環境を破壊する」などとして、反対の声が根強く、住民運動や訴訟なども続いています。加えて今回の事故で、住民の生活不安がいっそう増しています。
ところが都の対応は、どうか。共産党の原田あきら都議の質問に、「安全安心な事業は国など事業者の責務だ」との従来説明を繰り返し、小池知事も事業者に「丁寧な説明を求めている」と言うだけ。「まるで国の一機関」(原田都議)のような姿を際立たせました。
原田都議は、こうした都の姿勢の背景に、歴代担当者が、国土交通省出身者が占めていることを告発。さらに都には都市計画法に基づく報告や資料提供の要求、勧告や認可取り消しなど強い権限があることを明らかにし、都民の生命と財産を守る都の立場を明確にして対応するよう、小池知事に迫りました。
公明「早期再開を」
一方、都民ファーストの会、自民党、公明党の主要会派は、外環道を推進しているからか、この問題について触れることはありませんでした。
ただ、決算審議の場ではありませんが、公明党の野上純子都議から注目すべき発言がありました。それは11月5日の都議会環境建設委員会でのこと。「日頃から道路の陥没事故は起きている」「今回は人命が奪われることがなく不幸中の幸い」などとのべつつも、「原因究明して早期に工事が再開できるよう要望」するというもの。これを知った住民から驚きの声があがりました。この工事の早期再開を求める発言から、工事を優先する立場がすけて見えたからです。
その後、11月21日に新たな地下空洞が見つかり、不信が広がっています。
都ファ 病院人件費削減求める
決算審議ではもう一つ、小池都政が2022年度中を目指して、コロナ禍が深刻化する中でも強行に進める都立病院・公社病院の地方独立行政法人化をめぐる議論も焦点になりました。
小池都政の最大与党、都民ファーストの会の鈴木邦和都議は、コロナ対応に尽力する都立病院職員への感謝を口にする一方、この質問の最初に求めたのが、その職員への給与削減でした。
鈴木都議は都立病院の運営に一般会計からの385億円の繰り入れ、経常損益42億円を問題視。全国の自治体病院の平均給与月額59万円と都立の66・4万円を比較して、「かなり差がある。経営改善のためには給与体系の見直しも避けて通れない」と強調し、独法化を契機に人件費削減を求めたのです。
さらに、「外来患者単価」と「外来患者数」が少ないことを指摘。同じ医療圏で大学病院など他の医療機関との競合・競争が増していると強調し、独法化を契機に市場調査をもとに医療収益を高めていくべきだと主張しました。
共産党の和泉なおみ都議は決算審議で、「独法化の議論は、都の財政負担を減らすことを狙って議論をスタートしていることは明らかだ」と指摘しましたが、鈴木都議の主張は、まさにこの指摘を裏付けるものでした。
日本共産党は採算がとりにくい行政的医療を守るためには都からの支出は当然で、「赤字」には当たらないとの立場。都も同様の見解を示しています。和泉都議は、「一般会計からの支出の削減のために都立病院を独法化しようとする姿勢は、厳しく批判されなければならない」と、小池知事の姿勢を追及し、独法化の中止を求めました。
(東京民報2020年11月29日号より)