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遺骨含む土砂を使うな 沖縄辺野古 新基地 宗教者が共同声明〈12月20日号より〉
- 2020/12/24
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沖縄県名護市辺野古の新基地建設に、今なお戦争犠牲者の遺骨が眠る土砂を利用しようとする政府の計画に対し、宗派を超えた宗教者が10日、参議院議員会館で共同声明の発表と記者会見を行いました。参加者らは「死者への冒涜に他ならない」と強く反対の意を表明。物言わぬ遺骨の叫びを代弁するかのように、南部地域からの土砂採取中止や、遺骨収集の優先、沖縄戦犠牲者の遺族への謝罪を、菅義偉首相に求めました。

問題の発端は、防衛省が今年4月に公有水面埋立法に基づく設計変更を、県に申請したこと。辺野古新基地建設予定海域の大浦湾に、「マヨネーズ並み」と例えられる軟弱地盤が確認され、工事計画の大幅な見直しを迫られました。その中で埋め立てに使われる土砂の採取地について、現在の本島北部だけでなく、新たに南部が追加されたのです。
南部は沖縄戦の激戦地で、糸満市や八重瀬町などの土砂には、戦後75年の月日を経た今でも戦没者の遺骨が数多く残存。魂魄こんぱくの塔、東京の塔、ひめゆりの塔など、慰霊塔・碑が点在する歴史上重要な地であり、6月23日の慰霊の日には、毎年多くの人々が魂魄の塔を訪れ、戦没者を悼みます。
会見では、8人の宗教者が登壇。司会進行は日本山妙法寺の僧侶で、平和をつくり出す宗教者ネット事務局の武田隆雄氏。「ガマ(洞窟)に入り少し手で土を掘るだけでお骨が出てくる。遺骨に安らかに眠っていただくことが宗教者の務めと考え、仲間の聖職者に声を掛けて今回の記者会見となりました」と、現地の視察報告や今日に至る経緯を説明しました。
共同声明では「戦没者の遺骨が含まれている土砂を、戦争のための基地建設に使ってはならない。遺骨をないがしろにすれば、死者の尊厳を踏みにじることになる。命を尊ぶ宗教者として許すことはできない。これは戦没者を二度殺すことと同じ」と訴えています。
沖縄戦犠牲者の遺骨収集を38年間続けているボランティア団体「ガマフヤー」代表の具志堅隆松氏からは「死者は崇敬の念を持って対応されるべき」「これは防衛省による、戦没者遺族への裏切り行為に他ならない」との連帯メッセージが届きました。
記者会見の参加者も個々に発言。日本キリスト教協議会の金性済(キム・ソンジェ)総幹事は「罪も責任もない島民や軍部の命令で赴かされた兵士だけでなく、朝鮮半島から強制連行された徴用工の人々、旧日本軍の『慰安婦』も含まれていることを忘れてはいけない」と強調。日蓮宗僧侶の小野文珖氏は「遺骨収集が終わっていない土砂を使うなど言語道断。人道にもとる行為」と批判しました。平和を実現するキリスト者ネット事務局の平良愛香代表は、沖縄出身。「生きている間にさんざん命が踏みにじられ、死後もいじめられる。愚の骨頂」と憤りをあらわにしました。
共同声明には、各界からも連帯のメッセージが寄せられました。日本共産党の赤嶺政賢、清水忠史、田村貴昭、もとむら伸子・各衆院議員、伊藤岳、井上哲士、紙智子、倉林明子、たけだ良介・各参院議員らは、土地使用計画への怒りや新基地建設の中止、共闘の決意などを表明しています。
日本宗教者平和協議会など6団体が呼び掛け、賛同は16団体、306人に及んでいます。
(東京民報2020年12月20日号より)