VOTE 都議選・選択 都立病院独法化(地方独立行政法人化)

狙いは「稼ぐ医療」 推進する自公都ファ

 コロナ禍が深刻化する中、都が直接運営する都立病院(8病院)と都や都医師会などが出資する東京都医療保健公社が運営する公社病院(6病院と、がん検診センター)の役割がますます重要になっています。ところが小池百合子知事は、すべての病院を都から独立した法人にまかせる「地方独立行政法人化」(独法化)を、都民の不安や反対をよそに強引に進めています。都議会の自民党、公明党、都民ファーストの会も推進・容認の立場で、反対しているのは共産党だけです。

 都のホームページには都立病院の役割について、「高水準で専門性の高い総合診療基盤に支えられた行政的医療を適正に都民に提供」と掲載。また都医療保健公社のホームページには「公的な性格を持つ病院として、現行の診療報酬制度では採算の取れない医療や地域に不足する医療などの行政的医療(小児医療、精神科医療、感染症医療など)を都立病院とともに提供し、都の医療政策における重要な役割を果たしてきました」と、山口武兼理事長のあいさつでのべています。

 たとえ不採算であっても都民の命を守るために必要な医療を提供するのが、都立・公社病院の役割ということです。都はそのために、一般会計から毎年約400億円の運営費負担金を支出し、都立病院を支えているのです。

地方独立行政法人化が狙われる都立病院の一つ広尾病院(渋谷区)

 小池知事ら都幹部は、独法化のメリットについて、弾力的な予算執行や柔軟な人材確保が可能となるとし、「都立病院が担うべき役割を将来にわたって確実に果たしていくための効率的、効果的な運営のあり方」だと説明。「感染症医療を初めとした行政的医療を担う役割は、独法化後も変わるものではない」としています。

 しかし独法化とは、総務省によれば「企業的経営手法」による運営が大原則とされています。議会の質疑の中でも、都の財政負担を減らすことが、独法化の狙いであることが明らかになっています。小池知事が言う「稼ぐ医療」にするということで、「稼ぎ」の悪い不採算の部門は切り捨てるということです。

反対する共産党

 小池都政の最大与党、都民ファーストの会は議会質問で「都立病院の経営と、それを取り巻く環境については長年の課題」とし、400億円の運営費負担金を赤字かのように問題視。独法化に当たって「民間病院における給与等と比較した上で給与体系を設計するとともに、経営層に民間人材を積極的に登用することで、一層の経営改革を進められたい」(公営企業会計決算特別委員会での意見開陳、2020年11月20日)などと、民間病院との競争を促し、人件費削減や不採算診療の見直しを主張しています。

 自民、公明両党も基本的に同じ立場で、3月都議会では独法化に反対する5万人分を超える請願にそろって反対、不採択にしました。

 日本共産党は、行政的医療とは民間では取り組めない不採算医療であり、民間と競い合う独法化でなく、行政が直接責任を持つのが最善だと主張。都立・公社病院の独法化は中止し、都の直営のまま、いっそうの拡充を主張しています。

【東京民報2021年5月16日号より】

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