路上生活者に五輪の影響 民青同盟 170回目の街頭相談〈7月25日号より〉

 青年組織の日本民主青年同盟東京都委員会(民青)は12日、170回目の街頭生活労働相談を新宿駅周辺で行いました。

 街頭相談はリーマンショックで日本も大打撃を受けた2008年から始まりました。当日は学生ボランティアを含む民青スタッフ5人に、日本共産党東京都委員会・青年学生部長の田川豊氏、医師で衆院東京比例・4区重複予定候補の谷川智行氏、1回目の街頭相談では民青の都委員長として活躍した、衆院東京3区予定候補の香西かつ介氏が、相談員として駆け付けました。

 学生らは支援金で手配した、おにぎり、お茶、マスクのセットを差し入れとして用意し、この日は2グループに分かれてスタート。新宿駅の地下から都庁前まで徒歩で移動しつつ、路上生活者に差し入れを渡し「体調はどうですか」と積極的に声をかけていきます。

路上生活の相談を受ける谷川(右)、香西両氏=12日、新宿区

 94年から路上生活を続けている品川区出身の男性(59)は、軽い聴覚障害があるとスタッフに打ち明けます。生活保護の意志を尋ねると、理由は明かさずかたくなに拒みました。

 無職のため北海道の実家に居づらくなり、約10年前から新宿の路上で過ごしている男性(47)は、谷川氏もボランティアで参加している、様々な団体や個人による無料の食事提供と相談会「新宿ごはんプラス」(毎週、都庁付近で開催)や各地の炊き出しを利用して生活。五輪で警備が厳しくなり、追い込まれている状況を語りました。

 生活保護の申請を促すと、扶養照会を理由に拒否。今年4月から申請者が扶養照会を望まない場合、扶養照会が不要になった旨を説明するものの「働きもしないで…と思われそう」と口を濁しました。

 この日は計10人ほどの路上生活者と対話。一人の男性(68)が生活保護の申請を決意し、後日、田川氏が同行して福祉事務所を訪ねることになりました。

 今回2度目の参加となる学生(21)は、「生活保護にしても、他人に迷惑をかけたくないという考えの人が多い」と感想を語り、この学生に誘われた初参加の後輩(18)は「もともと興味があり、ちょっとでも役に立ちたい気持ちで参加した。路上生活者は生活保護などの支援については知っている。これ以上どうすべきなのだろう」と疑問を投げかけました。

 谷川氏は学生らに「政権やメディアなどにより、自己責任論が刷り込まれている。昨年、政府はようやく『生活保護は権利』と言った。生活困窮者をしっかりと支える政権にしなければいけない」と語りました。

五輪でホテル強制退去

 東京都は生活保護を申請した住居のない人に、原則30日間、滞在できるホテルを提供しています。しかし、東京五輪・パラリンピックで医療や大会関係者らが利用するため、22日までに退出を指示していることが明らかになりました。不安定な就労従事者や離職者のサポートセンター「TOKYOチャレンジネット」経由で用意した宿泊所からは、この日すでに140人ほどが退去。谷川、香西、田川各氏は、さらに路上生活者が増える可能性を危惧しています。

(東京民報2021年7月25日号より)

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