日本共産党都議団は小池百合子知事への新役員就任のあいさつで(12日)、和泉なおみ幹事長は「自宅療養中に亡くなる方があり深刻な状況だ。パラリンピックは中止の決断を」と訴えました。
和泉なおみ幹事長は都議選で「五輪を中止し新型コロナウイルス対策に全力集中を」との公約が共感を呼んだことを紹介。命を守るために、広いフロアに多数のベッドを配置した臨時施設の整備や、医療機関支援、PCR検査の大規模実施を要望。事業者が安心して休業・営業短縮できるよう十分な補償を提起。今後も積極的提案を行っていくとのべました。
また、これに先立つ6日にも、以下のような緊急の申し入れを行っています。▽パラリンピックを開催中止し医療従事者や検査能力、施設等をコロナ対策に集中する▽都の検査能力をフル活用し、無症状を含め感染者の早期発見に努める。迅速・効率的な検体採取の仕組みを構築する▽保健所業務を全庁横断で支援する▽宿泊療養施設で安全に医療提供ができるようにする。医療従事者の人件費を都として引き上げる▽臨時療養施設の整備を行う▽都知事の「自宅も病床」発言は撤回し、入院基準の見直しはせず、軽症・無症状者は宿泊療養を基本とする▽在宅医療を支える体制を確保する▽都立・公社病院の地方独立行政法人化は直ちに中止し、新型コロナ対応に集中できるようにする▽感染した障害者を障害特性に応じて受け入れることを徹底する―ことなど。
五輪が感染拡大 多数が回答
国立国際医療研究センターの大曲貴夫・国際感染症センター長は12日の東京都のモニタリング会議で、感染拡大への五輪の影響について「感染リスクが高いにも関わらず、オリンピック競技場の周辺や沿道では、大勢の人が集まり、応援する姿が見られた。今一度、屋外であっても密集・密接することは、感染リスクが高いことを啓発する必要がある」などと指摘しました。
東京五輪の開催が感染急拡大に影響したと考える人たちは、世論調査でも多数にのぼっています。JNNの調査(8月7、8日)では60%が「五輪が感染拡大につながった」と回答。「朝日新聞」(同)では五輪によって自粛が「ゆるんだ」と答えた人が61%にのぼっています。
また、尾㟢治夫・東京都医師会長も、東京新聞(14日付)のインタビューで、「五輪は祭典なので、緩む方向に影響を与えたことは、否定はできない。間接的な感染者が増える原因にはなった」とのべています。
「五輪が感染抑止」小池知事が強弁
小池百合子知事は13日の記者会見で、「(大曲氏の指摘は)印象論でおっしゃった」と全否定し、「エピソードベースではなくエビデンスベースで語ることが重要だ」と、具体的根拠も示さずに五輪と感染拡大との関連を否定しました。
小池知事は、東京五輪について、感染爆発が起きたのに「経験したことがない困難な状況だが、無事にやりとげることができた。感染拡大の抑止につながった」と強弁。パラリンピックも強行する姿勢を示し、子どもたちを動員する学校連携観戦について、「子どもたちには見せたい。ただ、感染状況や学校現場の意見もあるので、これらを踏まえながらの判断になる」としました。
〈東京民報2021年8月22日号より〉