「診察の際はこれまで通り、健康保険証をご持参ください」―開業医を中心に全国で10万8000人の会員を有する全国保険医団体連合会(全国保団連)は21日、記者会見を開き、「テレビなどでは『20日からマイナンバーカードを保険証として本格運用した』と報道していますが正確ではない」と苦言を呈しました。

マイナンバーカードの総合サイト。便利さをアピールするが……
厚労省によるとマイナンバーカードの保険証利用準備が完了している医療機関(病院、医科・歯科診療所、調剤薬局)は7・9%、全国で約1万1309施設(厚労省ホームページより、10月17日現在)だといいます。テレビでは便利さを強調していますが、本格的運用とするにはあまりに準備が不足しています。
またマイナンバーカードを保険証として持参し、医療機関が未対応だった場合には「保険証忘れ」として処理することが確認されています。「患者にその場で全額の医療費を支払ってもらい後日、保険証を持参した際に自己負担割合(1~3割)に応じた金額を返金する」というのです。全国保団連の理事らは「本格的運用と、多数の医療機関で対応できるような報道は医療現場で混乱を招きかねない。ぜひ、保険証持参で受診して欲しい」と警鐘を鳴らします。
国の支援対応は大学病院のような施設でもマイナンバーカードリーダー(読み取り機)は3台しか手当されず、受付機の数との整合性が取れないことや設備の対応などが複雑で対応しきれないことが障壁となっているといいます。(マスコミ報道に関する保団連の談話はこちら)
この日の会見では来春に改定予定の診療報酬について「引き上げ」を求める会員の声も紹介されました。20年で10%引き下げられているとして、コロナ禍における医療資機材の価格高騰やスタッフの確保も大変で医療機関の経営は厳しいと訴えています。
(東京民報2021年10月31日付から)