守れ、区民の知的財産 渋谷図書館 廃止に住民ら困惑〈1月30日号より〉

 昨年11月24~12月8日に開かれた第4回渋谷区議会定例会で、長谷部健区長が突如、渋谷区立渋谷図書館(東1丁目)を3月末に廃止する条例案を提出したことに対し、住民や元職員らが存続を求めて声を上げています。

 廃止条例案を耳にした元渋谷区図書館職員の男性は、周辺住民に事態を知らせるためにビラを配布。住民有志による「渋谷区の図書館を考える会」を結成しました。

「文化・教育施設は大切」と署名に応じる男性=13日、渋谷区

 会は廃止案に慎重な審議を求める請願を提出。議会でも突然、議題に上がったことから「住民への説明が不十分」として、全会派一致で継続審議となりました。2月22日から始まる第1回区議会定例会で、引き続き審査されます。

 渋谷図書館は1915年に開設された、同区で最も歴史のある図書館。77年に現在の場所で、赤レンガの建物に整備されました。蔵書数は約10万点でCDも貸出。133の閲覧席に、親子で本や絵本が楽しめる子ども室も備え、区内に10館ある図書館の中で2番目の広さ。年間約5万3700人が利用しています。

 区の説明によると渋谷図書館の廃止理由は、建物の老朽化。空調設備が故障しましたが、古い機械のため修理が難しく、昨夏は1カ月ほど臨時休館しました。

 定例会の質疑の中で、10年に1度は必要といわれる屋上防水工事が30年間も行われておらず、ずさんな管理の実態が判明。そのため漏水や壁のタイルが落下するなど、経年劣化は深刻な状態です。

 区は建て替えようにも渋谷図書館の前面道路が狭く、図書館の建物と隣接する民間建造物の擁壁がつながっているなど、さまざまな問題をあげ、メンテナンスを怠ってきた責任には触れず、工事には莫大な費用がかかると廃止に固執しています。

区民無視の暴挙

 日本共産党渋谷区議団の牛尾まさみ区議によると、「現区長はこの間、新島青少年センターや檜原自然の家など、子どもや区民にとって大切な施設を廃止してきた」と指摘。同区議団のトマ孝二区議は、「文化・教育施設の大切さを考慮していない。修理に多額の経費がかかることを理由に廃止することは道理がない。図書館は大事な施設なのに、区長は無くすことを平気で考えている」と語り、存続を求めて奮闘する決意を示しました。

関連記事

最近の記事

  1. 質問状の内容をJ A L 側(左)に説明する超党派の国会議員ら=18日、品川区  昨年以来…
  2. 記者会見する(左から)浦野氏、羽鳥氏=17日、新宿区  中野区議会で副議長(公明党)が日本共…
  3. 報告集会でマイクを握る白石都議=20日、品川区  東京都が防災性の向上を名目に進める特定整備…
  4. 東京地裁 コラボ中傷はデマ  女性支援団体「Colabo」(コラボ)と代表の仁藤夢乃さんが、…
  5. 1面2面3面4面 【1面】 都知事選 土台築いた「共闘」さらに 市民と野党が合同会議(2…

インスタグラム開設しました!

 

東京民報のインスタグラムを開設しました。
ぜひ、フォローをお願いします!

@tokyominpo

Instagram

#東京民報 12月10日号4面は「東京で楽しむ星の話」。今年の #ふたご座流星群 は、8年に一度の好条件といいます。
#横田基地 に所属する特殊作戦機CV22オスプレイが11月29日午後、鹿児島県の屋久島沖で墜落しました。#オスプレイ が死亡を伴う事故を起こしたのは、日本国内では初めて。住民団体からは「私たちの頭上を飛ぶなど、とんでもない」との声が上がっています。
老舗パチンコメーカーの株式会社西陣が、従業員が救済を申し立てた東京都労働委員会(#都労委)の審問期日の12月20日に依願退職に応じない者を解雇するとの通知を送付しました。労働組合は「寒空の中、放り出すのか」として不当解雇撤回の救済を申し立てました。
「汚染が #横田基地 から流出したことは明らかだ」―都議会公営企業会計決算委で、#斉藤まりこ 都議(#日本共産党)は、都の研究所の過去の調査などをもとに、横田基地が #PFAS の主要な汚染源だと明らかにし、都に立ち入り調査を求めました。【12月3日号掲載】
東京都教育委員会が #立川高校 の夜間定時制の生徒募集を2025年度に停止する方針を打ち出したことを受けて、「#立川高校定時制の廃校に反対する会」「立川高等学校芙蓉会」(定時制同窓会)などは11月24日、JR立川駅前(立川市)で、方針撤回を求める宣伝を21人が参加して行いました。
「(知事選を前に)税金を原資に、町会・自治会を使って知事の宣伝をしているのは明らかだ」―13日の決算特別委員会で、#日本共産党 の #原田あきら 都議は、#小池百合子 知事の顔写真と名前、メッセージを掲載した都の防災啓発チラシについて追及しました。
ページ上部へ戻る