視覚障害者にも使いやすい機器の開発は「非常に重要」―日本共産党の笠井亮衆院議員が4月14日、衆院経済産業委員会で、視覚障害者にとって「ライフライン」でありながら、買い物困難な事例も多いコンビニエンスストアを使いやすくするための改善を求めた際、梶山弘志経済産業相は前向きな答弁を示しました。

視覚障害者にとってコンビニは家の近くにあり、生活必需品の品揃えが豊富で、どの店も同じような商品配置であることから、ライフラインともいえる「便利なお店」となっています。しかし、忙しい店員に商品探しを頼みにくい、視覚障害者が使えない端末操作による発券機やセルフレジが増えている、生活習慣の違う外国人スタッフにほしい商品を探し当ててもらえないことがあるなど、買い物困難な事例が後を絶ちません。
こうしたことから、「手をつなごうすべての視覚障害者全国集会」は笠井氏とともに1月に経産省に要請、3月には経産省の取次ぎでコンビニ大手のローソン本社との懇談が実現し、改善を要望していました。
笠井氏は経産委員会で、音声ガイダンスもない画面操作のみの端末操作による機器は、視覚障害者が使用することを想定して設計しているのかと質問。ローソン本社のSDGs(持続可能な開発目標)担当者が視覚障害者から直接困難事例を聞くことによって、「商品開発だけでなくどうやって商品を売るのかという開発も大事だと気づくことができた」と言っていたことを紹介。障害者に対応できる機器の開発を促進するため、経産省の技術開発予算を使うことや規格による共通化を進めるよう求めました。
経産省の担当者は「多くの機器は視覚障害者に配慮した機能を備えた設計となっていないのが実態。障害者の方が使いやすい機器が導入されることも推奨されるべき」と答弁しました。
障害当事者との意見交換求める
視覚障害者団体は、各業界で新しい機器ができるたびに使い勝手を検証し、画面操作のみだった銀行のATM機や鉄道の乗車券売機に、音声案内とテンキーも追加設置させるなど、改善を実現してきました。

笠井氏は「『改善されてきたことはうれしい、しかしつくる前に私たちの意見を聞いてほしかった』というのが視覚障害者の声だ。障害のある方、コンビニ、経産省の三者が一堂に会し、意見を交換する場をつくるべきではないか」と求めました。梶山経産相は「おっしゃるとおり。コンビニ大手にも働きかけてやっていく」と答弁しました。
さらに笠井氏は、「だれひとり取り残さない」としたSDGsの観点、障害者権利条約、障害者差別解消法の観点からも経産省として全力で責務を果たすよう要望。梶山氏は「コンビニ大手もSDGsを掲げており、しっかり働きかけて取り組んでいきたい。こういった開発が日本の強みになる可能性もある」と答えました。
(東京民報2021年5月30日号より)