長崎で被爆した大阪市と神戸市の2人の男性が、原爆症と認めなかった国の処分の取り消しを求めた「ノーモア・ヒバクシャ近畿訴訟」で、大阪高裁は18日、一審判決をそのまま踏襲して、原告の訴えを棄却する不当判決を出しました。東京など7つの地裁に120人が提訴した一連の「ノーモア・ヒバクシャ訴訟」の最後の訴訟で、日本被団協や東友会(東京の被爆者団体)、東京訴訟の元原告らが同日、厚労省に根本的な救済策の実現などを申し入れるとともに、記者会見しました。
判決は、二人の病気について、飲酒などの生活習慣による発症の可能性をあげて請求を退けた一審判決を踏襲しました。原告団・弁護団は声明で、「控訴理由や、控訴審での医師の尋問についての検討をまともに行わず、任務を放棄したもので到底、容認できない」と厳しく批判しました。
厚労省内での記者会見で、日本被団協の木戸季市事務局長は判決について、「日本の被爆者援護政策の貧困を表している。距離や時間などの基準で分けるのではなく、すべての被爆者を援護対象とすべきだ」と強調しました。その理由は、原爆症の認定基準は、裁判で国の敗訴が相次ぐことで、改定を迫られる流れが続いてきたことにあります。