
学校を卒業した新社会人のみなさんは期待と不安に胸を膨らませていることでしょう。「どんな先輩がいるのか」「研修や業務についていけるだろうか」などに気を取られて、肝心の給与や休暇などの労働条件の確認がおろそかになりがちです。「あなたの会社は大丈夫?」―困りごとに発展する前のチェックポイントを東京地方労働組合評議会(東京地評)の柴田和啓副議長と、江東区労働組合総連合(江東区労連)の松井優希事務局次長に聞きました。
入社時、会社は労働条件を明示する義務が課されます(労働基準法第15条)。勤務時間や給与、休日などの労働条件が記載された雇用契約書(労働契約書)に、双方が署名・捺印をして保管します。契約書がない場合は「労働条件通知表」を求めましょう。トラブルに発展した時に必要なのでなくさないようにしてください。松井さんは「書面が渡されず、口頭で説明されても法的には有効なので記録しましょう」と強調します。
さらに「最近では従業員を募集していても、請負契約にするというケースも少なくありません。社員なのか、請負契約なのかにも気を付けてください。請負契約は手取りが多く見えますが、健康保険などは自分で支払います。失業給付や休業補償給付もない、職場の安全配慮義務もないために条件は劣悪です」と続けます。
また、ハローワークや学校を通じた公的機関の求人は、入社後に条件が違うなどのトラブルがほぼありませんが、「インターネットの求人情報サイトなどには注意が必要」と警鐘を鳴らします。
ハローワークなどでは法的に問題がある場合は排除されますが、民間業者の場合は企業の提示する情報をそのまま掲載することが少なくありません。中には「法外な研修費を要求し、仕事が回されないなどの詐欺的なトラブルも起きています。きれいなホームページなど、見た目に惑わされないで」と訴えます。