【コラム砂時計】ブレーキ緩和の後押し

 

 

 改正道路交通法が7月から施行される。対象は4輪ではなく、電動キックボードだ。現行法では運転免許が必要だが、それを不要にするほか、歩道での走行を可能にする、歩道以外での最高速度を現行の時速15㌔㍍から20㌔㍍に引き上げるなどとなっている。

 一方、今回の法改正に際しては、区内から意見があがっている。東京・中央区では昨年5月16日、警察庁交通局長に対し、要望書を提出した。その中で、銀座、京橋、日本橋などは路上パーキングが多く、歩行者天国も実施されることから、こうした道路空間に電動キックボードが加わることにより、交通事故の増加が懸念される、として実施に際して「柔軟な対応」を求めている。

 今回の法改正の後押しをしているのが自民党の「モビリティと交通の新時代を創る議員連盟(略称MaaS議連)」で会長は同党幹事長経験者の甘利明衆院議員だ。同議連のプロジェクトチームが2021年5月、今回の法改正の骨子ともなっている規制緩和を提言した。同議連の中には自ら走行中の写真をSNSにアップしている東京選出参院議員もいる。

 経産省が委託事業として行った「国内外の電動キックボードに関する調査」(2022年)によれば、日本国内の流通台数は推定1万8千~2万台。電動キックボード先進国のドイツでは50都市で運用され、ベルリン、ハンブルクだけで1万7千台にのぼっている。

 同国では、都市部への自動車の流入量を抑える政策として実施され、走行できるのは自転車専用道と自転車レーンに限られ、サービス提供業者と自治体が連携し、事故を減らすため運転マナーの啓発に取り組んでいる(前出の調査)。

 日本における今夏からの道交法改正は安全対策の「ブレーキを緩める」ようなもので、「調査」でも指摘しているように「マナー違反や事故の増加が懸念」される。(阿部芳郎・ジャーナリスト)

(東京民報2023年2月12日号より)

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