西武バス 燃料漏れ事故相次ぐ 背景に人員削減と安全軽視〈2023年6月18日号〉
- 2023/6/19
- 労働・市民
東京都北西部や埼玉県内を運行する西武バスで運行中の燃料漏れ事故が多発しています。西武バスの現役運転士は「経費の削減が安全を脅かしている。大事故が起きてからでは遅い」と訴えます。
運転士「大事故起きたら遅い」
運転士は同バスの自社内給油施設が併設の営業所で、「消防法により危険物取扱者(国家資格)の立ち会いでの給油が定められているのに、モニター監視だけで立ち会いが一切ない」と告発。営業所内で運行に際し、「運転士が自分で給油した場合の燃料漏れが1年半で10回以上発生し、消防車の出動も複数回あった」と語ります。
原因のひとつに考えられるのが燃料キャップの誤着です。危険物取扱者を人件費削減のために配置しなくなり、誤着を回避できなくなった可能性があります。
さらに運転士は「会社は指導に訪れた消防署員にモニターで確認していると言いますが、実際は担当者もなくモニターにはキャップや給油口自体が映らない」と指摘します。
燃料漏れは営業所内にとどまらず、ひばりヶ丘駅(西東京市)や大泉学園駅、練馬駅(ともに練馬区)などのロータリーでも発生。漏れた軽油の上に乾燥させるオイルドライ(薬剤)を撒く応急処置で対応し、許可がない公道への薬剤の散布で行政に苦情が入ったケースもあるといいます。
走行中、漏れた燃料がそのままにされていたなら、スリップにより自転車やバイクの転倒事故を誘発する二次災害の危険性も否定できません。
2022年4月1日の午前7時過ぎ、同バスが清瀬市駅ロータリーで燃料漏れ事故を起こし消防が出動。さらに同じ車両が午後6時頃に清瀬市中清戸市民センター付近の路上で大量の燃料漏れ事故(写真)を起こしました。現場近くには小学校や都営アパートもあり、漏れだした軽油に引火すれば火災などの二次災害の可能性が懸念され、東京消防庁から消防車が出動し危険回避行動が行われる騒動となりました。
朝方に燃料漏れ事故を起こした車両は営業所に戻った後に十分なメンテナンスもなく、運行が停止されることもなく、同日午後には運行に復帰し2度目の燃料漏れ事故を起こしています。その後、その営業所の同型の車両2台がメーカー修理に出されています。