三井不動産などが進める神宮外苑の再開発(新宿、港区、約28万平方メートル)で、東京都の施行認可の手続きは違法だとして、周辺住民ら約59人が都に認可の取り消しを求めている訴訟の第1回口頭弁論が6月29日、東京地裁(岡田幸人裁判長)でありました。
訴状によると、原告は「公園まちづくり制度」の濫用で、都市計画審議会での審議に重大な瑕疵があり、事業者側が都に提出した環境影響評価書案も樹木伐採について把握することなく審議され、事実誤認があったなどと主張。都側は請求の棄却を求めました。
大勢の傍聴者が駆けつけるなか、2人の原告が意見陳述しました。原告団長で経営コンサルタントのロッシェル・カップさんは、神宮外苑がかけがえのない都市遺産であることを説明したうえで、「都民、国民不在の再開発計画が決定され、認可され、多くの環境破壊や住民被害の問題を残したまま、強引に進められていることに大きな疑問と怒りを覚える」と批判。都が「裁量権を逸脱・乱用して、違法ではないかを司法の場で判断されることが重要だ」と主張しました。
近隣の集合住宅で自治会長を務める近藤良夫さんは、秩父宮ラグビー場と敷地を交換して新築される神宮球場をつくる計画が、住民に当初説明した地区まちづくり指針について、具体的な説明がないまま都は、民間事業者が作成した事業計画に合わせるように変更したと主張。新球場で騒音や風害、地下鉄駅の利用制限の重大な被害を受ける恐れがあると訴えました。
閉廷後の記者会見で、原告代理人の山下幸夫弁護士が争点について説明。提訴と同時に、地裁に申し立てた事業認可の執行停止が3月に却下されたのを受け、4月に東京高裁に抗告したことも明らかにしました。