東京都教育委員会が11月に実施した中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)の実施状況について、同テストを都立高校入試に活用しないよう求めてきた専門家や保護者の団体、都議会議員連盟が5日、都庁で開いた記者会見で調査結果を発表しました。昨年実施の同テストと同様に、受験生に周囲の解答する音声が聞こえたことが明らかになり、「改善しがたく公平・公正性が確保できない問題がある」として、改めて入試活用の中止を訴えました。
「声がでかい人がいて、めっちゃ聞こえてしまいました」「10秒くらい待ってから始めたが、周りの声が丸聞こえ。とても簡単に解けた」。アンケートに寄せられた受験生の声です。
同テストは教育産業大手のベネッセが11月26日に都立学校や民間施設など227カ所で実施し、都内公立中学3年生約7万人が受験。議連などがインターネットで行ったアンケートには、受験生198人と保護者ら266人が回答しました。
都教委は「教室の人数を昨年の30人から28人に減らす」などの対策をとったといいますが、試験中「まわりの生徒が何を言っているかがわかった」との回答は、86件にものぼりました。
調査を受けて、中学3年生の保護者は「カンニングができる状態のテストを、入試に使わないでください」とコメント。議連事務局長で日本共産党のとや英津子都議は、周囲の回答が聞こえる問題について「請け負う民間業者が変更になっても、現在のテスト形式を続ける限り解決できない」と強調しました。
またアンケートの自由記述には、防音のためにヘッドフォンの形をした両耳を覆う「イヤーマフ」の装着について、「きつくて痛かった」「耳が本当に痛い。全然集中できないくらい痛かった」など、同器具に関することが76件もありました。とや都議は「生徒は苦痛があっても試験中はイヤーマフを直すことができず、人権侵害といえる深刻な状況」だと指摘しました。
東京民報2023年12月17日号より